2010年11月22日月曜日

雨の列車

昼過ぎから本格的な雨になりました。夜に入り雨脚がはやまったようになって降り続いています。帰宅の満員列車の中、濡れた傘が車内の空気を湿らせます。一年で最もはやい日の入りのこの頃、車外は真っ暗、窓からいつもは車のヘッドライトやテールランプの灯りが躍るのが見えるのに、雨の今夜は黒く濡れたアスファルトに吸収されたのか暗く侘しい光をまたたかせています。
 車内もこころなしか、しめっぽくうち沈んだようにようになって、声のトーンも低く感じ、話し声もぼそぼそ聞こえてきます。
 徳島を発車した時は立っている人もいたがだんだん下車し、石井を過ぎるころにはみんな座っている人ばかりになりました。声はますます低くなり、眠っている人が目立ちます。列車のゴトンゴトンと揺れのリズムにあわせるかのような単調な音を聞いていると、私も知らず知らずのうちに眠りに落ちてしまいました。
 頭のどこかは起きていたのでしょう、一つ手前の駅のアナウンスではっと目覚めました。手前の駅で目覚めた頃から、携帯を手に話している人が目につきます。私の隣の中年のご婦人は「もうすぐ着くからむかえ頼むわな。」と話しています。
 他の携帯で話している人も次の駅か、また2,3駅次かで降りるため雨の迎えを家族にたのんでいるのでしょう。当然、車の迎えでしょう。
 かなりの降雨。あちこちにできた水たまり。そしていつもより暗い雨夜を傘をさしてとぼとぼ帰るのは心細いし危険が伴います。こんなとき迎えがあるってなんて素晴らしいことでしょう。誰も迎えてくれる人のない人にはありがたさがわかります。
 降りる駅に着きました。多くの人はササッと駅をでます。傘をさし徒歩で急ぐ人、しかしその人数に匹敵するくらいあまり広くない駅前には迎えの車がひしめき合っています。
 私はまだ外へ出ず2.3人いる駅舎に残っています。残っている人の中には着いてから迎えを頼んでいるのでしょう携帯で話しています。私はおもむろにリュックから反射タスキと反射プレートの首かけを出し、コートにかけ、ぶら下げます。交通事故対策です。
 時間をおいて駅前の車がいなくなってから、帰ります。雨だから自転車は使えません。ゆっくり用心しながら帰ります。
 もう迎えに来た人の車は家についたろうなあ。こんな雨の夜。山のおさるさんやイノシシも穴や木の洞のなか家族が体を寄せ合い丸くなって休んでいるのだろうなあ。などと考えながらまだ着かぬ雨の夜道を歩いています。
 私の好きな画家、ターナーの描いた「雨、蒸気、速度」の絵です。雨の中蒸気を吐きながら疾走する列車。

  

2 件のコメント:

てるゆき さんのコメント...

いつも、情感豊かに、ブログを投稿されてますね。
人生、ひとそれぞれ、色々ではないでしょうか?

今日は、気をつけて、文化の森にいらしてください。

ワンピースファン ルフィと仲間たち さんのコメント...

yamasanさんの1日ので出来事を克明に投稿されているので
本当の日記で、ブログといえると思います。
私のは、ブログと言うより検索対策です。
文化の森でもワンピースDVDあれば良いのですが・・・