「北越雪譜」がようやく半分読めた。
これは江戸・天保期(1830~1840年頃)、越後の国、今の新潟県・塩沢にいた鈴木牧之によって書かれた本である。内容は、雪国越後の特異で珍しい風俗、地誌、雪国ならではの事件、事故、そのほか人文地理全般にわたっている。
昔にさかのぼればさかのぼるほど人々は、都の風俗を尊び、田舎の風俗を卑しんできた。貴族しかり、武士でさえも地方より都の文化をもてはやした。江戸時代でも、いわゆる文人という人々は、(まあ、文筆家または文化人ですかね、)同じように江戸や京都の文化、風俗を最上とした。地方の文化や風俗などには見るべきものはないと思われていた。ましてそのような地方の文化、風俗が本にされ出版されることなどはなかった。
しかし、江戸も後期、天保時代になると地方の経済が発展し、地方にまで幅広い階層に教育が普及し、そしてそれに伴い地方人に多くの文人が輩出する。
そして以前は考えられなかった地方人が自分の地方の文化を本にして出版することができるようになったのである。
この「北越雪譜」がそうである。出版は江戸においてなされたが、越後の辺鄙な僻地ともいえる塩沢の問屋で質屋の商人兼文人の鈴木牧之が著者である。そしてこの本は、江戸には珍しい話が満載された本としてベストセラーになる。地方文化の隆盛が本になって結実してくるのがこの時代である。
江戸の後期、越後(新潟)で有名な文人は小林一茶、良寛がいます。この二人は俳句、和歌を作っていたので今でも知っている人は多いです。しかし、鈴木牧之は散文、随筆のたぐいなので知る人は今でこそ少ないですが、読んでいて面白い本で、出版と同時に江戸で大評判になったのも納得できます。
盛りだくさんの内容については、全部は無理なので面白い話をいくつか次の機会に紹介しようと思っています。最後に一つだけこの話を・・・
越後には天然ガスが噴出してるって知ってました?この本によるとこの時代、天然ガスが噴出し、燃え上がることもとっくに知ってました。驚きなのは、管様のもので(竹か何か筒を作り)引っ張り、着火し、それで、天然ガスが噴出する池の水をその火で温め、有料の温泉を作っていたことです。
それって、今の重油でボイラを沸かすスーパー銭湯と変わりないですね。よく誤解されてますが、燃やしたのは石油だろうというんですが、石油は常温ではガソリンのように、パッと燃えません。すぐ火をつけて燃えるのは天然ガスです。同時に石油も出ますが。
話、変わりますが、温泉に含まれるのは鉱物イオン、いわゆるミネラル、これらはすべて無機物なんですが、成分に石油のもととなる有機物が入った温泉があるのご存知ですか?こんな温泉めったにありません、特異な匂いがあります。
私は入りました。珍しいので皆さんも機会があったらぜひ入ってください。それは日本最北の温泉、豊富温泉とその近くの稚内温泉です。
上記の江戸時代の越後の天然ガス温泉も、噴出する池の水を使ってるから、有機物の入った珍しい温泉ではないかと推測されますが、昔の話なので分かりません。
この有機物温泉、たいへん薬効あります。
3 件のコメント:
わたしボイラ技士の資格もってるから、どこか九州か東北の温泉場の風呂焚きをしながら、残り少ない人生を過ごすことを夢想してます。
毎日、温泉に浸かり、のんびりし、歌でも歌いながら、ボイラをお守する。
お気楽な「温泉小説」の世界じゃ。
ボイラー資格を生かした温泉地の発想
良いですね。
温泉地の旅館のホームページから
アプローチしても可能性あるような気がします。
ボイラ技士の資格すごいですね。僕も、とりたいです。どのようにしたらとれますか? 僕も、以前、仕事の事を占い師に見てもらったら、温泉地の雑用などの仕事が向いてるといわれました。
コメントを投稿