2012年5月17日木曜日
初夏の香り
最近は芳香でも人工・合成のドギツイ匂いが多い中、自然の花の香り、それも香り高い花でなく、つつましやかにかつ上品に匂う花の香りを嗅ぐとなにか心が清められた感じがする。
今日はそんな花の匂いを嗅いだ。
自転車で今日も阿波シラサギ大橋を渡った。北へ橋を渡り切り、橋から下る坂にかかったところで
坂の途中からかぐわしい花の香りがしてきた。強い香りではない、しかし、周りの空気をそのよい香りで満たしている。
坂道で加速がついた自転車をブレーキをかけて徐行にする。鼻にいっぱいに空気を吸い込み、匂いを確かめる。
「これは、ローズ系(バラ)の香りのような・・・・」
自転車をとめてあたりを見回す。
よく見ると・・・・・・
昔から日本に自生している『そうび(薔薇)』、野ばら、ノイバラともいう。つる性の野生種のバラである。
ローズ系の匂いのはずだ。バラそのものである。ただし西洋のバラのようにきつくはない。ちょうど西洋人と日本人の体臭(わきが)の違いのように、こちらは淡白な香りである。一本・一輪だと鼻をうんとくっつけてクンクンしなければ知覚できないほどだ。
しかしこれだけ群生していると数の力か、離れていても芳香が漂ってくる。
「ほんとに上品でいい匂いだ。浜茄子の香りに似ている」
若い人にこれを見せて、『バラだ』というと、『え~、うそ~~~ぉ』などという。若い人は大輪で色の付いた八重咲きのド派手なバラしかイメージがないのだろうが、こちらがホントのバラの原種に近いものである。
江戸時代、この花を見て蕪村が俳句を詠んだ。この蕪村の俳句などは、どう見ても私なんかは啄木あたりの近代人が作ったとしか思えない。
愁いつつ 岡にのぼれば 花いばら
蕪村も愁いながらも、きっとこの薔薇のいい香りを嗅いだのだろう。
坂を下り、右へ曲がって、まだ一度も行ったことのないあいあい温泉へ行った。
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2 件のコメント:
やまさん鼻いいんですね!一句できました。
やまさんが 鼻で花かぐ 当たり前
そんなことより、ついに「あいあい温泉」行ったんですか。露天風呂は広くていいでしょう。シルク風呂はいりましたか?安くていい温泉ですよね。(^.^)
ここだけの話ですが、ちょっと怖気をふるってしまいました。いえね、決して他人ごとではないですよ。私自身のことですから、悪口にもならないと思います。
時間帯も時間帯ですから当然、リタイヤした(はるか昔、先の御世に引退した80を超える人も混じる)人ばかり、私は半時間も入っていなかったけど、入ってから出るまで死んだようにグタッと寝そべってる人もちらほら、多くはよろよろふら、たぶんかなりな時間ここで過ごすんでしょう。
以前は隠居で温泉!極楽と思ってましたが・・・なぜか終わりに近い人生の時間を、温泉で体じゅう弛緩させて、ぼんやり過ごしてよいのか?そう考えると、少しも落ち着いて入っていられず、さっさと出ました。こんな時間こんなところにいる自分に少しだけ恐怖を感じました。
究極の人生最後の勉強の「言語学」と「数学基礎論」はどうなった?
これではいけない、カラカラ浴場で退廃した古代ローマのローマ人になってはいけない、老いても森を疾駆するゲルマンの戦士でなければならない。もう二度と行くまい。
と思うやまさんでした。
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