『天空の帝国インカ』を読む。副題は「その謎に挑む」である。
天空の帝国、インカ、その謎、いかにも興味をそそる内容である。天空の帝国?あまり聞きなれない用語でもちろん術語ではないだろうが、アニメ「天空の城ラピュタ」を思い出し、ちょっとファンタジーな響きを醸し出す。
天空と名付けた所以は、インカ帝国の首都、人口稠密地、農業生産の中心地がアンデス山中の標高3500~4000mにあるためである。
表題を見て政治史や文化・風習、あるいは非常に発達した土木技術、文字は持たなかった代わりのコミュニケーション手段、などを中心に書いているのかなと思ったがそうではなかった。
1000万と言われた帝国の人口を支えた農業について多く書かれている。
低緯度高山の気候・風土から説いている。低緯度高山は熱帯・亜熱帯域にありながら3500mもの高地にあるため、どちらかというと冷涼で、マラリア、伝染病も少なく、トウモロコシを栽培するには少し不向きだがジャガイモのようなイモ類は栽培に適している。そしてインカを支えた重要作物はこのジャガイモであった。
家畜類はラクダ科の「リャマ」「アルパカ」の2種類がいた。主に運搬や毛糸をとるために飼われた。
アメリカの古代文明(時代的には旧世界の近世だが)はトウモロコシ栽培が中心と思われがちだがインカ帝国の主要作物はイモ類、特にジャガイモであった。
その他にも新大陸で栽培化された品種は多くその数100以上で・・・・・・・・・
とまあ、ほとんど農業か農業史の側面の記述が多かった。
私がもっとも知りたかった1000万人の人口を有し、数十万の軍隊を動員できる大帝国がわずか168人のスペイン人によって何故いとも簡単に征服されたか、については最後の数ページに記述があるだけでちょっと物足りない気がした。
まあいろいろ理由はあるようであるが(疫病、馬、銃、鉄製武器など)、この著者のもっとも重要視しているのは、インカの人々は異形の者(具体的には奇形)に対し非常な畏怖を持っていたこと。崇めるといってもいいだろう。
特にその異形の者の中で「白い人」には言い伝えがあり、神話の中の偉大な神に近い怖れを持っていた。
白人であるスペイン人が帝国に現れた時、その畏怖が重ね合わされ、やすやすと征服されてしまったのである。
異形(奇形)に対し畏怖、崇めを持つのは古代中国また日本にもあったことであるからこういうインカの伝説もあり得るとは思うが、この著者はそれが征服された要因のもっとも重要なものとしてそれをあげている。はたしてどうだろう。
「異形(奇形)に対する畏怖、崇め」については以前、ブログを作っているのでそちらも見てください。
『瑞祥について・アルビノを考える』 下クリック
http://koromonotate.blogspot.com/p/blog-page_03.html
3 件のコメント:
私以上の世代でなければ絶対わからないキーワード
「ナショナルキッド」と「インカ金星人」なつかしいなぁ~
小学校4年だったなあ。
って、この間、茶飲み友達に
「あんた!昔話して、懐かしむようになったら、もう終わりじょ!」
トホホ(;_;
インカ帝国ですか、ほとんど知らないんですが、石積みの技術が尋常ではないというのはこの文明のことですよね。紙片が入る隙間もないとか、ミステリーですね。金星人との関係はもっとミステリーです。(^.^)
ナショナルキッドは知らないですね、僕が知ってるのは、月光仮面からです。(^^)
演歌といい、子供時代のヒーローものといいしんさまとの間に断絶を感じますね。
この本、期待して借りましたが外れました。ジャガイモのことが詳しい本でした。
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