政治と宗教のバトル再来か？

 　昨日、暑い中、ワイと同年代か少し上のジイサン、バーサン連中が駅前の歩道で十数人が一列になり、なんか政治的プロパガンダを流している。ビラも道行く人に手渡している、私はこういうビラは拒否するので素通りしたが、並んでいる列の一人が拡声器でがなり立てているのを聞くと、どうも「政治と統一教会」について、のことらしい。先日暗殺された保守の某大物政治家と為政者党の「政治と統一教会」についての非難のようだ。

　主義主張はともかく、先日非業の死を遂げた人に、49日も済まぬのにあからさまの非難はあまり同調できるものではない。しかしそれについては少し配慮があるのか拡声器の人も「殺されたことは大変気の毒ではありますが・・・」との枕詞をちょろっと付けた後は、遠慮なく某政治家と為政党の非難のオンパレード。

　この政党は私の記憶によれば依って立つ政治綱領の基礎（聖典といってもいいかもしれない）はマルクスの「資本論」、これも私の理解が正しければその理論は唯物論的・弁証法による科学的な歴史発展の説明である。そこから革命の力学が生まれ、「唯物弁証法の展開の過程で社会はダイナミックに変化しその必然として将来は共産革命がおこり理想的な社会が実現される」とまぁ生半可のワイの理解ではそうなる。

　だから唯物論をとるこの政党では、いみじくも教祖（マルクス・レーニン）が「宗教はアヘンである」と言ったように宗教は否定的にとらえられている。このアヘンといったのはなかなか意味深な言葉である。アヘンは社会に害毒をながす依存薬物であるが、適正に使えば癒せない酷い痛みに対する有効な薬となる。しかしそれはあくまで方便であり、救うのは肉体であって魂ではない、と唯物論にはしっかりと立っている。

　そのためかこの政党が「統一教会」に対しもっとも非難の声が大きい気がする。70歳以上のワイの年齢に近い人はもうご存知だと思うが、統一教会は「国際勝共連合」と表裏一体だからこの政党が天敵扱いするのもわかる。もっというとやはりワイらの年齢以上のものはこの政党とある宗教とのバトルには過去に似たことがあったことを知っている。昭和４４年ころのある本（藤原弘達著の本）の出版弾圧に端を発した「狂賛党vs高迷党」のバトルである。

　唯物論的弁証法によって立つ政党と宗教は相性が悪いようだ。ソ連もロシア正教を弾圧していたが党が崩壊してからは復活し教団の勢力は伸びてきている。お隣の中国は一応看板だけは唯物論的弁証法に依ってたつ「党」が健在なので各種の宗教弾圧は今も盛んである。

　公平を期するために行っておくと、他宗教について他人があれこれいうのは控えたほうがいいが、カルト宗教の中には反社会的行為に走り犯罪を犯したり、また多額の献金をあれやこれやの方法で募り、破産まで追い詰めるのは非難され糾弾されるべきである。しかし、例えば中世にカトリック教会は魔女裁判などで火あぶりだの、宗教に名を借りた宗教戦争によりむやみに人を殺したりした。しかし歴史とともにカトリック教会は穏健・温和に変化し、他宗教や異端とも協調性を重んじるようになって現代にいたっている。だから過去がそうであったからといって今現在もそうだろうとむやみにレッテルを張るのには慎重であってほしい。

　実のところ、ワイの見立てでは、政治と宗教の話が現在盛り上がっているのは、政党では党勢をのばすため、テレビのワイドショウでは視聴率をとるため、週刊誌では購読を増やすため、に盛んに記事を発信しているようだ。なんぼぅ猛暑とはいえ、ゾォ～とするようなおどろおどろしい宗教の話（かなり怪しい話も多い）を垂れ流すのはもう少し節度をもってやってほしい。