2025年3月6日木曜日

今頃の花々、じゃけんど花々しいことはない

  今日は3月6日、薄日も射しているし、気温もそう低くないので、春の花を求めて市内をうろついた。

 「冬の薔薇」と西洋では呼ばれているのは、師走頃から咲いている「山茶花」や「寒椿」、大輪で派手な色の花で八重もある。冬枯れで温室でもなければバラの花はみられないヨーロッパでは、冬に咲くこのような花は珍しく、バラに似ているところからこのように呼ばれたのだろう。私の好みでいえば、このような派手な花は好きではない。同じ仲間で三月頃になれば開き始める野生種の「ヤブツバキ」がいい。城山のねきを通っている遊歩道の横に椿のトンネルがある。そろそろヤブツバキの花が見られるはずだとそこへ行くと赤い花が咲いていた。寒椿や山茶花は五月蠅いくらい花をつけているが、ヤブツバキはひかえめに、常緑の葉に囲まれるようにひっそりと咲いている。


 椿のトンネルの横は汽車の操車場になっていて、その間に城の堀がある。ここは昭和の初めころまではその堀を通って「寺島川」が流れていた。今は寺島川は埋め立てられ、この堀にその跡を偲ぶのみである。堀の上に水辺の花である「水仙」が咲いていた。


 寺島川は埋め立てられ死んでしまったが、上に見える堀の、城山を挟んで反対側は、大河である「助任川」が流れている。その川沿いには早咲きの桜である「蜂須賀桜」の並木がある。満開の、もしかして桜吹雪の木の下を歩けばさぞや気色よかろうと向かうと・・・


 アカン、冬木立のままや、まだ咲くのはしばらく先みたいや、桜色の雪洞だけがむなしく揺れていた。今年は早春の寒さのせいか、ずいぶん遅いようである。というのも去年の3月5日には見事に咲いていて、それをブログにアップしていたのだ(これが去年3月5日のブログ、ここクリック

 残念!しかし桜の花が見られないとなると、どっかでどうしても見たくなる。そういや、両国橋のたもとに緋寒桜があったなぁ、あそこはもう咲いとるやろか、向かうと、咲いてました。しかし、どうしてだろう、ソメイヨシノどころか先の蜂須賀桜に比べても、色がくすんだようで地味な感じがする。桜の中には「薄墨桜」というのがあり、地味どころか、薄墨色(散り際にそんな色になるらしい)は、出家者の法衣の色であるからずいぶん抹香臭い桜となる。



 薄墨桜については、ちょっとうろ覚えで、ネットで調べても確たる証拠はないが、こんな話が私の頭に残っている。

 『今は昔、毎年春に色美しく咲く桜があった。ある男が植えた桜であった、彼はまるで我が子のように丹精込めてその木を育て、毎度のように桜に話しかけ愛(いつく)しんだ。ところがある年の秋、男はまるで木が葉を落とすように徐々に衰え萎み、とうとう冬に亡くなってしまった。次の年、春が来て、再び美しい色の桜が見えるだろうと、人々が出かけて見ると、なんとその桜は薄墨色の花をつけて咲いていたのである。人々は、桜の木は悲しみのあまり、出家して薄墨色の法衣をつけたのだと噂しあったそうである。』

 両国橋の緋寒桜、薄墨桜ほどではないが地味な色である。もしや、薄墨桜の伝説のように何か哀しいことでもあるのだろうか、そこで木にむかって聞いてみた。

 「さくらさん、さくらさん、なにか悲しいことがあって、こんな色にさいているのですか」

桜さんは答えてくれました

 「いえいえ、これという悲しいことはありませんが、なにせ、私の名前が悲観桜だもので」

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