図書館の社会人席のブースで読書をしていると後ろの席にいるリクルートスーツを着た若い女性がパソコンを広げ何か作業をしているのか、紙やビニル類を擦るようなガサゴソと耳に立つ音が聞こえる。一時的に鞄からノートか何か書類を取り出しているのかと思った。まぁそれくらいの音は誰にもあることなので、とおもっていたが、そのガサゴソが止まずずっと続く、10分ほどは我慢したが、さすが長すぎので「ガサゴソの音が長く続いています、止まないので気になります、少し静かにしてくれませんか」と後ろに向いて言った。が、完全無視、何も返ってこない、ふりむきさえしない。こうゆう若い娘の反応ってジジイは困る。いっそ「いえ音は押さえています」と反抗でもしてくれる方がまだいい。すみません、の一言くらいあってもよいがともおもうが無視、でも聞こえてはいる、その証拠にそれを境に音も小さくなり回数もへった。
最近は若い女性にジジイが注意すると無視するのが習いなのか、それともこの女性が特別なのか。あるやはりジジイの年齢に入るエッセイストが書いていたが、女性に列車内で公共道徳に関することで注意したところ、「はぁ?」と右上がりのイントネーションで返され、何度か「はぁ?」の同じリアクションが返される。結局「はぁ?」以上のコミュニケーションができなかったそうだ、このエッセイストは人格者なのでコミュができないと嘆息気味で書いていたが、私なら小馬鹿にされたように怒りを感じるだろう。
これをお読みの爺さん方、若い女性に公徳心に関する小言はやむにやまれずとはいえ控え、がまんするほうがええとおもいますか?やっぱ我慢するのがええんでしょうなぁ、孫のような女性からの無視だの「はぁ?」だのは、それでなくともひがみっぽいジジイには精神的にもよ~ありませんわ。いわずもがなのことだったんでしょうな。(「こら、ジジイ、おのれはヤクザみたいなんがワイのようなことしよってもよ~注意するんか!えぇ~、こぅらぁ~」とこの娘にいわれると、答えに窮す、やっぱ、そう返されることもあるとすると、万人にたいし、いらんことはいわんこっちゃな、70すぎて学習せにゃな。)
ユーラシア史を勉強しているが定番通り、古代から現代に至る時代を下りてきて勉強している、いまちょうど話題のロシア史でロマノフ朝が終わり、ロシア革命の経緯、そして共産党一党独裁からスターリンに進んでいる。この2,3日かけて読んだのが左の本、まぁ胸が悪くなるような大量虐殺をこの男一人が原因となって引き起こしたのである。彼のために死んだロシア人だけでも少なくとも1000万人はくだらないと言われている。この本の著者も書いているが「ジェノサイド」はある民族、人種、宗教に狙いを定めた抹殺であるから、ヒットラーのユダヤに対する処置は完全なジェノサイトだが、スターリンの大虐殺はそれを上回るものではあっても、定義から(特定の民族、宗教、人種の狙い撃ち)いうと疑問はある。しかしそれでもソ連国内の虐殺を著者はスターリンのジェノサイドと認定している。ロシア革命史を詳しく勉強してわかったことだが、高校や大学の一般教養の世界史だとスターリンの虐殺は反対派の大量虐殺(多くの濡れ衣を含む)、一応「粛正」などときれい言葉で飾ってはいるが、そのような処刑が中心だと思わせる記述が多い(ワイもそうだった)、ところが彼のひどいところはそんな反対派の虐殺も小さく見えるほどの恐ろしい大虐殺を行ったのである。それは農民の虐殺である。スターリンは全国の農業の集団化を進めるため、無理としか言いようのないレッテル張りで小農経営や自作農を「富農」(グラーク)と決めつけ、ある地方では村の住民根こそぎ、全土に平均しても1~2割以上の富農を、銃殺または矯正収容所にぶち込んだ、よくて強制移住(それもシベリア、極北など生存の難しい地方)、これだけでも結果的に1000万の死者は出ているだろう。
上記でよくて強制移住とあるが、その実態は、ほぼ不毛の地、極北に食料、農具、そのほかの生活用具なしに放り込まれるのである。冬を越せば春を待たず死亡率はほぼ100パーセントに近い、いくら何でもそりゃあるまいとおもうが、同じく読んだ左の本にはまさにそのような全滅必至の、反体制とレッテルを貼られた人々の強制移住の話である。『1933年早春、シベリアのオビ川に浮かぶナジノ島へ、モスクワとレニングラードから6000人が着のみ着のまま移送・遺棄され、そこで起きた事件だった。』
この書名「共食いの島」は比喩ではなくギリギリの飢餓状態に置かれ人肉嗜食も行ったことから来ている。
そもそも国の命名にもなっている「ソビエト」は労働者+農民の評議会がルーツである。当然共産党のイデオロギーから言っても労働者とともに農民も国の主体でなければならない。それなのにスターリンは工業化を急ぐあまり農民を犠牲にする。前記のように富農は撲滅され農業の集団化が完成した後、スターリンは農業を犠牲にして工業化に邁進する(第一次五カ年計画)、工業の資材、資金を得るため農民に過度の穀物の強制供出を押しつけ(西側に輸出して資金、機械類を手に入れる)、農民の糧食どころか次年度の種籾までも召し上げたのである。これを「飢餓輸出」という(こんな言葉があったんや)、結局、ウクライナを中心に本来豊かな穀倉地帯であるはずの南ロシアで数百万~からこれまた1000万人以上が餓死したのである。
これについては小難しい上記の本を読むより左のDVDをツタヤで借りて見れば百聞は一見にしかずでよくわかります。ここでもやはり人肉嗜食がでてきます。オカルトやホラーではなく現実に1930年代ロシアで起こった事実です。日本でも戦前、小作は虐げられ苦労し、また昭和初期は東北の飢饉で娘の身売りが多く行われたと言いますが、ここまでのことはさすが日本ではないです。独裁者が独善に陥ったかあるいはこれも権力確立の手段の一つかもわかりませんが、反対派をほぼ一掃した尽くした独裁者の誤った政策は、誰もただすものがないだけにその被害は大きいものがあります。もうスターリン一人の責任に帰されてもいいと思います。ヒトラー、スターリン、毛沢東、は多くの人を、彼らが原因で(というのももし彼らが違った政策をとっていれば死ななくてすんだという意味で、これでいかに独裁者が恐ろしいものかわかります)死なせました。ヒトラーはユダヤ人600万人、スターリンは反対派、農民そのほか諸々で1000万以上、毛沢東はもっと多いと言われています。そのほぼ全員は死なねばならぬような罪は犯していないのです。
梅雨入りはもうすぐかな?晴れた日が続いています。今日は布団を干しました。梅雨入り頃あまい実がなるビワの木を見ると、お。もう食べられそうじゃが。よそんちのビワじゃからとっては食べれんが。
4 件のコメント:
やまさんがしっかり解説してくれるんで、縁遠かったロシアの歴史がわかる。
テレビでも、ネットでも、うわっつらの情報しかない。
それもプロパガンダで操作されたものだろう。
やっぱり、本の情報が基本。でも読むのはめんどい。
やまさんみたいな、読解力のある読み手が、わかりやすく解説してくれるんが最高です。
ネットで、本の感想を見るが、酷評しているユーザーに限って、読み間違いや、著者への偏見、内容への先入観などでまともに読めていない人が多い。中には、文章がわかりにくいから読むのを辞めたとかいうのがある。それは本のせいじゃなく、おまえがアホやからだろうと言いたい。
>>かるろすさんへ
いえいえ読解力があるなんてとんでもない。自分なりに解釈しています。新聞雑誌でその本の書評を見たりするとまるで私と観点が違う、重点的な部分が違うというのがほとんどです。
歳が行くと若い時みたいに読みたい!という強い動機も弱くなるし、読んでもなんか上の空で中身に入っていけなかったりするのはちょっちゅうです、5年前くらいまでは行儀が悪いのですが寝床に入って本を読んでいました。夢中になって明け方まで読んだことも、でもいまは、寝床の本は麻酔薬、スタンドがついたまま、本を広げて寝てしまいます。早いときは数分、70過ぎたらこんなもんなんでしょうかね。
汽車の中では今も本が読めています、昔ほど速読できませんが、汽車に乗るときにお気に入りの本は必須アイテムです。でもいま車両を見渡すと若い衆はもちろんジジババもほとんどが本を読む人はなく、スマホです。まぁそれで知識を得たり、小説をダウンロードして読んだりもできますから、これも知的ツールなんでしょうが、私は本がいいですね。スマホはガラケーがなくなるまでしないでしょうね。
もう少し私に気力や知力があれば、あのマルクスが理想とした共産主義社会、そして彼はそれに向けての革命の力学を説いたのですが、ソ連や中国を見ると、その希望をもって進んだ壮大な実験が失敗しましたね。なぜそうなったのか?本を読んで知りたいです。
マナー 特に僕も音は気になります。 僕の場合 とりあえず謝ります。
人間関係というか 難しいですね。
>>テルさんへ
普通はそうでしょうね、一言謝るでしょうね、そういえばテルさんにずっと以前ジムのサウナで注意して逆ギレさせた話を聞きましたね、最近逆ギレが多く事件になるようなニュースが多発してますね、触らぬ神ですかね、
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