2012年6月26日火曜日
やねこい政府も困りもの
日本の民主主義は戦後(昭和20年)から、などとたわごとをいう人は最近では少なくなったが、それでも大正・明治・江戸と強権的な専制主義の政府だったと思っているものが多い。
江戸時代において政府の最高責任者は「老中」であったが、専制的な行政は行っていなかった。というか行えなかった。政策決定は合議制で、失政があれば罷免された。この時代、よく百姓の租税の苛斂誅求さをいう人がいる。しかし、税率はほとんど変わらず、もし、新規の税などを設けようと思えば、大騒ぎになり、その反動は老中に跳ね返ってくる。
そのため増税の改革は難しかった。だから改革といえば税の増収に頼るのではなく、倹約、支出の削減に力を入れるのが普通であった。江戸の三大改革といわれる、享保・寛政・天保、いずれもそうである。
しかし、倹約・支出削減では十分改革が行えないため、増税を言い出したら、上記の三大改革はいずれも潰れた。
だから、今回の消費税増税などはおやめなさい、というのではない。問題は、江戸時代以来ずっと続いている「政府の脆弱さ(やねこい、と阿波弁では言う)」である。
私は、「日本人は全体的に民度が高く、江戸以来、ある意味、民衆の意向を汲む形で政治が行われてきた。」と思っている。
内閣制度が始まったのも、議会政治が始まったのも19世紀後半である。アジアでは初めて、欧州のドイツ、イタリアと比べてもそんなに遅れてはいない形で民主政治も始まった。
もともと専制的な政治風土でなかったうえにこのような民衆の意向を反映させる政治が始まったものだから、内閣制度(1885年)発足以降、民衆の恨みを買ったり、意向に反する場合は、責任をとって内閣が頻繁に交代するようになった。
そして、今、消費税改革法案で内閣がつぶれるかもしれない。こんな言い方はおかしいかもしれないが、たかが税制の改革一つである。みんな増税しなければどうしようもないことはわかっている。しかし、どうも、みんなは「消費税値上げ法案を通すなら、内閣の一つや二つに責任をとって辞めてもらうのも仕方ない」と思っているようである。
税を上げた以上、財政の改革までやり遂げて欲しいが、言ったように日本の政府はもろくてすぐ潰れる。一つの重要政策をやるたび内閣がつぶれていては継続した一貫性のある政策などとれまい。
日本近国の独裁国はおくとして、民衆の意向が政治に反映する欧米の民主主義先進国でも政府は最低4年は持つ。
多少、人気不人気はあっても民主的な手続きによって選ばれた政府である以上、日本においてもせめて4年間くらいは続かないものかと思う。
どうもまた短期で政府(内閣)は潰れそうである。
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5 件のコメント:
最近政治にはほとんど興味がないです。とは言っても前からですが、ニュースに首相やらが出てくるとすぐにチャンネルを変えるようになってしまいました。でも今日は、小沢さんの顔を見ると御釈迦さんに見えました。なぜだろう?(^<^)
お疲れ様です。いつもコメントありがとうございます。
古典に『鼓腹撃壌』というのがあります。ほんとにいい政府とは、今の日本のように大衆に無視されたり、小馬鹿にされる政府かもしれません。
首相の顔を見てると、最近、哀れに感じるようになりました。
ところで首相のプロフを見て驚きました。彼としんさま、同い年なんですね。この驚きとは・・
「しんさま、美しくて、かっこいい、素敵!」
です。
前に知り合いの人が言っていましたが、「インフレを起こした方がいいのではないか?」との意見でした。給料と物が安すぎるのだと。今現在の借金が重すぎるのだと。個人も、企業も、国も。
その時は何も感じず聞いていましたが、その通りのような気もします。しかし、外国との絡みもあり簡単ではないんですよね。
政治は難しい。やねこい人々がいい政策を導き出してくれることに期待します。
デフレを解消したいということで個人的には百均の消費税は20%くらいにしてもいいような気がします。安すぎますよ。
経済規模が拡大し、景気が良く、全体の所得が上がるときは、ある程度のインフレになることは確かです。
そこでこの因果関係を逆にし、人工的にインフレを起こすと、経済規模が拡大し、景気が良く、全体の所得が上がる、のか?
そういうことはあり得るのですが、この経済政策は難しいと思います。
下手をすれば、不況・失業・低賃金のままインフレが進行する最悪の状態・スタグフレーションになる可能性があります。
ともかく、大ボケばかりかましている民主党政権がやると危ない限りです。
今、驚くことに先進国の中では「円」がもっとも価値が高くなっています。日本人は消極的で悲観的ですが、この状況を利用しない手はないと思います。
英米だと撃って出て大もうけすると思います。
>>yamasan
やっとまじめなコメントが帰ってきましたね。その通りなのです。だから世の中は混とんとしています。
外貨を購入し高くなったら売るとか、金利のいい国に貯金するなどの方法も今となっては受け付けてくれないでしょう。
そうなってくると外国の安い商品を購入することになり国産品が大打撃を受ける。
デフレが起こったのも貿易で競争力を維持するために仕方なくです。
買ってくれるところに売りに行く。当たり前のことです。欲しがる人を増やさないと価格は上がりません。この辺に打開策があるように思うのですが・・・
しかし、車会社のリコール問題などもあり売ればいいというわけでもありません。
本当に難しいです。
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