磁気が知られたのは、日本にも天然に存在する『磁鉄鉱』であろう。鉄が吸い付く不思議な力として認識されていたに違いない。
しかしいわゆる『磁気』としてこれが認識されていたかどうかは、わからない。というのは、引力・斥力があるこの不思議な力は、「不思議なパワー」として認識はされていたが、同じ性質を持つ「電気」と区別して認識されていたかという意味においてはおそらく同一の「不思議なパワー」として未分化で認識されていたものと思われる。
江戸時代の庶民も同じ認識であったものと思われる。その証拠にここで、当時、江戸の歌舞伎の演目であった『毛抜き』を紹介したい。
まず、舞台はさる大名家の姫君。奇怪な病気にかかっている。それは図のように髪の毛が逆立つ病気。美しい姫だがこれでは恋をすることも、嫁に行くこともできない。
そこである武士がその奇病を治すために登場する。しかし原因はわからない。
しかし、何気なく、自分のひげを抜こうと毛抜きを出して使おうとすると・・・・・・・・・
下の図のように毛抜きが空中に・・・浮いた!!!
「やっ、やっ、やややや~~、なんとも不思議な」
いろいろ考え、やがて姫のいる部屋の天井に曲者がいてこれらの現象を起こしていると考える。ここらあたりはシャーロック・ホームズみたいな武士だ。
そして天井に槍をプスリと突き刺すと曲者が、
ドドドド~~、と落ちてきた。
もう皆さんお分かりですね。これがこの奇怪な現象の正体だったのです。
江戸時代ですけど、こんな面白い奇想天外なSFもののお芝居があったなんて驚きですよね。
でもこれで磁気電気の区別がないことが、よくわかりますよね。髪が逆立つのは静電気で、決して磁気ではないと。
しかし、江戸の庶民にとっては摩訶不思議な静電気・磁力なんかみんな同じもの、ちゃんぽんに考えていたんですね。
今日上演されるときは、一応、姫の櫛の金属に反応して・・・という説明がされてますが、そんなあほな、ですよね。姫の櫛といえば、金か銀、鉄であろうはずはありませんものね。
よけいな説明を現代になったつけたものですね。ここは江戸の庶民のように未分化な不思議なパワーとして磁力を認識しましょう(ちなみに本当は曲者は馬蹄形の永久磁石でなく、羅針盤を持っている)
人類の磁気電気に関する知見も江戸の庶民と同じで、最初は区別がなかったと思います。要するに「不思議な遠隔作用のパワー」と見ていた。古代から近世まで。
しかし、磁気は中世になって有用性のあるものに利用されるようになる。皆さんご存知の方位磁石(コンパス)です。
磁鉄鉱に鉄の棒を何度もこすることによって磁気を帯びることは知られていました。その鉄の棒磁石を 竹かなんかの中空の管に入れ、水に浮かべると、あ~~ら不思議
「真北を指した!」
方位磁石の誕生ですね。この現象も当時の人には驚きだったでしょう。このように棒状磁石の一方の先が北を指す。そしてその方位磁石を2本用意し近づけあうと、2つの先は引き合う部分と反発する部分があることを知ります。
ここらあたりから磁石には2極が存在することが知られるのではないでしょうか。
そして近世、16世紀ごろ、球形の磁石をつくり、実験をしたギルバートによって地球自体が大きな磁石であることが確かめられます。
ここらあたりから、ヨーロッパの科学者は、磁気と電気を区別し始めます。
磁気も電気も2極あるのは同じだが、電気は単極を分離して単独で存在することができるが、磁気は決して単極に分割してそれ自体存在できないことも認識します。
江戸の庶民は磁気も静電気も同じように認識してますが当時のヨーロッパでは2つは完全に別物として、それぞれの対象を実験していました。
しかし皮肉なことに、19世紀になると、磁気電気は不可分のものとして認識され始めます。エルステッド、アンペール、マクスウエルらによって。
ということは江戸の庶民も磁気電気を一体として捉えていたのはあながち間違いじゃなかったんですね。
2 件のコメント:
磁場とはプレアデスの対化、電場とはシリウスの対化、電磁場とは磁場と電場を等化した力の射影であり、進化の観察精神の働きの全てが人間の内面に映し出されたもので、この世に生み出された全ての空間に交差しているようです。すごいな~(^^;))e
しんさま~~~(*_*)
難しすぎてわかりません。初歩電気教室には高度すぎます。
磁力は不思議なパワーを有することはなんとなく理解できます。
強力磁石で肩こりが治るといいますものね。
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