「だれぞ、知っとる人おるやろか」
いたいた、ワイより年上でもう八十歳にはなろうかという「I」さんだ。映像で見たところ矍鑠として、肌もつやがあり、髪黒々ふさふさ、ステージにすっくと立った姿は、まだ60代と言っても通るほどだ。徳島の民謡が上手いと聞いていたので祖谷の民謡「粉引き歌」でも歌うんかいな、と思っていたが違った千昌夫さんのなんちゃらいう歌だった。ひいき目に見ても貶(けな)し目にみても出場者20人の中では一番うまかったように思う。朗々とでも形容するような声のボリュゥムや屈託のない歌いぶりに感心した。
「こりゃ、かなり、歌いこんどるな、それもちょっとしたステージみたいなところで」
歌の終わりにキンコンキンコン~キンコロクァ~~~ンと鐘がフルに鳴り響き彼は入賞した。この日の入賞者は20人の出場者のうち5人で、最後の審査発表でなんと、「I」さんはチャンピヨンに選ばれた。
ええなぁ~、こんなドサ回りののど自慢大会、みたことのある兄ちゃんや姉ちゃん、おばはんおっさんが、趣味で歌っている歌を上手下手にかかわらず披露するって。振り付けも洗練されていないけどその分新鮮やわ。歌い終わった後のコメントもおもっしょい。「〇〇ちゃん、見てますか~、好きですぅぅ」、「ウチの猫が五匹も子ぉ産んだんじょぉ」・・など
ほにゃけんど、ワイの好きな歌とか銭湯で歌いよる歌なんぞは古臭くて、こののど自慢大会のエントリィ曲には全くなかった。いっちょ古い歌がその「I」さんが歌った千昌夫はんの歌やから。後は歌どころか歌手の名前も全く知らん歌ばっか、大文字のロゥマ字が三つ並んだんが歌手の名前って、そりゃアンタ、知るはずおまへんがな。ワイからすれば昭和40年代以降は新しい歌だ、ワイの知る古き良き時代の昭和20年や30年代の歌を歌う人なんど死に絶えたんかなぁ。
♪~くぁぁっぱ~くぁらぁげぇて~、三度ぐぁぁさぁぁぁ~~、どくぉねぐらぅぅらぁぁのぉぉ、渡りぃぃどぉぉりぃぃ~、愚痴じゃなけれどぉ、この俺ぇぇぇにゃぁぁ~
三波春夫はんの「雪の三度笠」、どこぞの爺ちゃんが歌うの聞きたかったな。まぁええわ、今晩、銭湯でワイが歌ってこまそ。
0 件のコメント:
コメントを投稿