歳ぃ行くと新しい冒険をこころみなくなる。その代り過去の楽しかったことや良かったことを思い出してそこへ行って見たくなる。確かに新しい冒険ではないが、これが四半世紀もたっていればどうだろう。一世代以上も昔になれば、同じ場所とはいっても大きく環境も変わり、ほとんど新しいところへ行くのと変わりはないのではないか思ったりもする。
まぁためしにちょうど四半世紀前(25年前)にいったある思い出の場所へ今日行って見ることにした。まず前夜その思い出を作ってくれた映画を図書館のDVDライブラリで借りてみた。題は『虹をつかむ男』、徳島県でロケをしたのである。この年(平成8年)男はつらいよ、シリーズ主演の渥美清さんが亡くなってその後継映画として企画されたのがこの映画であった。そして主ロケ地に選ばれたのは徳島県の西部、脇町、貞光、美馬であった。寅さんが徳島へ来るのを楽しみにしていたがそれもかなわなかった。しかしその後継映画として徳島が選ばれたのなら是非、ロケ地に足を運んで見なければならんと脇町オデオン座、美馬町の寺、そしてきょう足を運んだ貞光・引地堂の三か所のロケ地へ行き、西田敏行さん、吉岡秀隆さん、田中裕子さんの演技を見ることができた。
その中で特に印象に残ったロケ地は貞光の山の方にある引地堂であった。素晴らしい眺めの場所で、右半分そして前方は山奥の雰囲気を漂わせているが、左方は開けていて貞光川に沿った町並が下に見え、はるか北には吉野川と徳島平野がひらけ、その向こうには阿讃の山並みが薄青く霞んでいる。その雄大なロケーションの前で田中裕子と吉岡秀隆が演技をするのであるが、私といえば当時、弁当までもってそのシーンを見にいったのである。
まず昨夜みた映画のシーンから
このシーンの外側右後ろに25年前の私がいて見守っていたのである。季節は11月、ロケ隊の係の人が上方から落ち葉を振りまいていたのを思い出す。
さて映画を見てこのシーンをもう一度しっかり目に焼き付け、今朝、汽車に乗って貞光に向かったが、四半世紀もたってはたしてこの引地堂が昔のまま残っているだろうか。
山を登り始め、出会った人に引地堂って、まだありますか?と聞いた。うれしいことにまだ建っていて信仰の対象となっているそうだ。
瓦が葺きかわってはいるが昔の姿のままである。しかし縁はこのように傷みがはげしい。横吹き抜けのお堂である、修理を怠れば存続は難しくなる。いつまでも残ってほしいがこの後どうなるだろうか。
しばらくお堂の縁に座りぼんやりと時を過ごす。過ぎ去ってみれば四半世紀など須臾の間のような気がする。
さて、いってよかったか?若い時のような甘い感傷などはないが、いってよかった。
途中、石仏や信仰の石碑、別のお堂などもカメラにおさめたが、また機会があればブログの材料として使おうと思っている。
引地堂の動画
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