2024年5月22日水曜日

しょぉもないワイのエントロピのエピソォド 

  飽きもせず毎日持ち歩くカバンの中にはエントロピの入門書や概説書の類が一冊は必ず入っている。常時持ち歩いているくせに(もっともどの本も以前数度は目を通しているが)ほとんど読まない。こちらの方は飽きもしない常時携帯の習慣と違い「飽き」が来ているようだ。ほななんで常時持ち歩いているのかと言えば、いつどこでもエントロピについて勉強できるという、いいわけ、身構え、フリに過ぎないようだ。

 そもそもエントロピーがワイの頭に初めて入ったのは、高校生の時だった。このブログの右上に高校時のワイの写真があるがこのころだ。だから56~7年も昔だ。とはいっても高校の物理を通してではない。高校物理の「熱」に関する内容は電気や力学とくらべればお粗末なもので比熱とかジュール定数、気体の状態方程式が出てくるくらいのもので、熱の本質にかかわる分子運動論やエントロピーの勉強についてはかすりもしなかった。今から思うと確率・統計を駆使する「分子熱運動論」は高校生には難しいので無理もないが、エントロピーについては初歩や入門、いやその「さわり」でもいいから、物理の(教科書記述は無理としても)授業で取り上げて欲しかった。

 高校生で知ったのは図書館にある熱の本質とかなんとかいう本であった。今だとブルーバクスの本の類であろうか。その中で「エントロピー」という語が出てきた。当時、その定義については本の中で説明はしてあったと思うが、記憶には全然残っていないので、エントロピーという概念を十分理解していたのではないだろう。今も印象深く残っているその本の内容は、この世のエントロピーは時とともに増大し、最後には「宇宙は熱的死」を迎えるというものであった。まるで黙示録のおそろしい未来予言のようにそれは心に響き、なにかまがまがしいもののようにエントロピーを感じた。

 何をやっても所詮は無駄、エントロピーは増大の一途をたどり、熱的死となる云々、は強烈なインパクトをもたらし、もっと知りたいという欲求が高まった。このころ、頭の中でこのように考えていたのを思い出す。

『宇宙を単純にモデル化し、熱的に閉じられた系として考えるのなら、こんなモデルはどうじゃろか、断熱して他に熱の授受のない大きな風呂桶の湯を考える、最初はその湯は一様の温度ではなく部分的に熱いところもあるし冷たいところもあるとする。例えば半分が100℃で半分が0℃でもよい。このような熱分布の湯桶の湯は時とともにダイナミックに動く、対流がそうだ。その運動力や熱の移動によって突き動かされ、さまざまな現象、変化が起きる、それを宇宙の神羅万象と考える。しかし時とともに温度は均一化し、全体が同一の温度になった時、動きは止まり、熱の移動もなくなる。そして永遠に変化のない湯船の湯になる、これがいわゆる(宇宙の)熱的死ではないだろうか』

 とまぁ、これがワイの高校生で考えられた精いっぱいのエントロピーについての手前勝手な理解じゃった。

 その後、それ以上エントロピーについての理解は進まなかった。エントロピーについてはっきりとした定義や数式で一応(形式的に)理解できたのは、就職活動の一環として(ビル管理の仕事が楽そうじゃからいっちょやってこまそ、と思い)国家資格である「ボイラ技士」と「冷凍機械責任者」を独学で、テキストを中心に勉強したからである。

 冷凍機械のテキストに理論として必ず載っているのは「カルノーサイクル」とその図である。これは理解しなくても国家資格の合否にはほとんど関係がないが、冷凍理論としての基礎理論なので載せざるを得ないのだ。でも私は高校の時から興味があったので他の参考書にも当たり、カルノーサイクルの理解に努めた。カルノーサイクルは左上の肖像画、カルノーのお兄さんが(彼はコレラで若死にするのでお兄さんと呼んでもいいだろう)、19世紀のまだ早い時期、つまり熱の本質は何かまだわかっていなかったとき、熱のやり取り(高熱源から低熱源へ)によって最大限の動力を引き出すよう考えられたのがカルノーサイクルである。このサイクルのみそは「可逆サイクル」であるということで、逆にサイクルを動かせば低熱源から熱を汲みだせるのである。ただしこれは理想的な熱機関であり、現実にはロスが生じ、可逆機関とはならない。


 このカルノーサイクルによって数式的な意味でのエントロピーは理解できたが、どうもしっくりと身につかない。

 エントロピーのついての理解はカルノーサイクルによるアプローチもあるが、別のアプローチもある、数式で表すなら対数関数を用いた次の式である。Sがエントロピとなり、Kは定数、Wは乱雑さ、情報のあいまいさとなる。 


情報のあいまいさや、乱雑さから導き出されるこの式の方がワイにはわかりやすくすっきりしている。対数関数は高校一年の数学で出てきたし、若い人は知らんだろうが、昔、計算機もろくになかった時代、「計算尺」というのがあった。ワイも20歳くらいの時、主に興味から買った。この計算尺の理論は対数に基づくもので目盛りの間隔が対数関数の変数になっていた。なんで高次な桁数の計算が手ンごろ易くできるのか、計算尺をももぐりまくって考えたことを思い出す。

 カルノーサイクルによる定義はいまいちよ~わからんが、対数関数によるエントロピの定義のほうが理解しやすい。

 あ、付け加えると、ボイラ技士と冷凍機械の国家資格は合格率が高いこともあって両方とも合格し免状はとった(2級と3種だが)、しかしとっただけで就職に結びつくこともなく死蔵している。

 そうそう、このボイラと冷凍機械を同時に勉強してた時のこと、一方は熱を出し、一方は熱を吸収する、全く真逆の機械だが、これをくっ付けたような機械があり、面白いな、とおもって考察したことがある。それはボイラによって冷房し、ガスバーナによって冷凍する機械である、ホテルなどでボイラを動かして蒸気を出し、いくつかの過程を経て4℃近い冷水を作り、地下のプールタンクにためその水を循環しホテルの客室を冷房するボイラ装置があり、また大昔、大阪ガスでガスバーナーの炎で作動する「ガス冷蔵庫」があった。それらがそうである。

 考察の結果、動力(電動モータ)で冷房するほうがエントロピーの増加が少なくて済むことがわかり、このような冷房あるいは冷凍装置はかなり無駄な熱を出していることがわかった。だから現在はこのような「ボイラで蒸気を発生させ冷房する」や「ガスの炎で冷蔵する」の機械は廃れていった。でも、一見、熱して冷やすって、矛盾して面白そうなので、こだわってその構造を調べたのである。

2 件のコメント:

トナカイ さんのコメント...

崩壊3rdという中国のゲームにエントロピー普通にでてきたりする

yamasan さんのコメント...

>>トナカイさんへ
 コメントありがとうございます

 そうなんですか、興味はありますがゲームは半世紀前のインベィダゲームをちょこっとやったくらいで疎いです。でもゲームにエントロピーが出てくるのは面白いですね。でもユーザーはその概念わかってすかっているのかな、もし理解の上でゲームをやっているとすごいですね。あとゲームソフトの制作者が正しくエントロピーを使っているのか気にはなります。

 今はどちらかというと、「生成AI」チャットGPT、の方に強く興味があります。あと、多分コンピューター用語ないし数学の概念と思うんだけどアルゴリズムについて今、ごく簡単な解説書を読んでいます。
 
 10年前にチャットGPTの予言的映画で「Her/世界にひとつの彼女」はコンピュータおたくの若い人にも評価が高いです。ビデオ屋で110円で借りられますから、よかったら見てください。そして良ければ感想も聞かせてください。

 今、ニューラルネットワーク、機械学習、ディープラーニング、などの言葉とは一体何かと、初歩的な勉強をボチボチしているところです。すぐそばにトナカイさんがいたら聞けるのにと思っていますが、図書館の本を借り出して自分なりに勉強しています。

 これはなかなか奥が深いです。言語とは何か、生きる意味、未来へ人類はどうなるのか、の哲学的意味、宇宙論などを「生成AI」の急速な発達は我々人に考えさせられます。

 ところで私は富士通のノートパソコンを持っていますが、チャットGPTで私が人工知能と雑談したいと思ったらできるのかなぁ?でもちょっと怖い気がします。まぁ、今はそれは何者かについてベンキョしていますから、それがわかってから雑談してみようかな。