2012年8月31日金曜日

晦日に月が出るとは


 夜、歩いていてふと見上げると、

 「お!今日は満月だ。」


 家に帰ってカレンダーを見ると今日の日付のところに月の形が描いてあって、その横に確かに満月と書いてある。そして今日の日付は8月の終わり、晦日だ。

 ここでちょっと説明させてほしい。晦日(みそか)は月の最終日である。昔は一か月の終わりは三十日つまり三十(みそ)・日(か)でみ・そ・かである。
 そして12月の最終日だけを晦日と呼ばず、大をつけて大晦日(おおみそか)という。

 『晦』(かい)という字の意味は、だから月の終わり、そして(月の終わりで夜月が出なければ暗いから)暗いという2つの意味がある。そして晦の訓読みはつごもり、すなわち月がこもる・つきこもり⇒つごもり(月がかくれる)というのが語源である。

 長々と説明したが、何が言いたいかというと、晦日に満月を迎えることである。
 日本開闢以来、つい140年前までは、晦日に月が出る、ましてや満月を迎えることなど金輪際(この金輪際の語源はこの宇宙の端まで極めてもあり得ぬという意味である)あり得ないことだったのである。

 それはこんな成句・ことわざが昔あったことからわかる。

 『買わぬ富くじが当たれば、晦日に月が出るだろう。』

 言葉の論理とは面白いもので、どんなでたらめであり得ぬことでも、あり得ぬ偽の前提を置けば全体として『真』の文になるのである。

 140年前まで日本は旧暦だった。月の運行をもとにした旧暦では月末は新月、つまり月は夜空には出ないのである。

 明治以前の人にとって今日のような晦日に満月を仰ぐような夜は、絶対なかったのである。

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

人と月の同期した、古き善き時代に戻りたいです。(^з^)-☆月

てるゆき さんのコメント...

満月の夜は昔 マンガで狼が吼えているのをテレビで見たことがあります。

yamasan さんのコメント...

>>しんさま

公私共に何かとお忙しいと思います。夏ばてしないようにお気をつけください。

 この月は、蔵本駅前から見上げた月です。来月にかけて「名月の季節」になりますね。十六夜、十三夜、立ち待ち、居待ち月・・・そういえばブログに月見が丘の月観察をかいたことがありましたなぁ~
 月をめでるのはどうでしょう?

yamasan さんのコメント...

>>てるさん

 私も月に向かって吼えたくなるときがあります。
 勇ましい狼の遠吠えではなく、負け犬の惨めな
 「キャインキャイン」です。