今よりずっと目が良かった頃、10代後半から20歳くらいにかけて、夜空を眺め星を眺めたのを思い出す。
昨日から、ある人の影響で占星術について考えていた。占星術については全く勉強したことがなかったが、若い頃夜空をよく眺めていたのを思い出し、
「あれはなぜだったんだろう」
と記憶を探っていった。
一晩中眺めたこともあった。星座表をみながら天空にギリシャ神話の絵を想像した。また、望遠鏡が手に入って惑星などを眺めたこともある。
40年以上たった今でも「星座」について比較的よく知っているのは、この時星座表を手に実地で夜空を眺め覚えたからである。しかし、別に星座を覚えることが目的ではなかった。
19、20の頃であるから動機もいまひとつ定かではないが、一つ言えるのは、星々が輝く夜空に魅せられたことである。夜の天空に広がる星を見ているとその悠久さ深遠さに打たれたのは覚えている。
晩秋の誰もいない深夜の野原に一人ぼっちで夜空を見上げると降るような星空。
私を中心に天空が広がる。
ちっぽけなちっぽけな自分に対し、周りを取り囲む天空、宇宙といってもいいだろう、その広大・無限なこと。こせこせした人の営み、その中での悩みなどが馬鹿らしくなってくる。
よくこころが洗われるというが、本当に心が清くなり、苦悩も無くなっていく気がした。胸が震えるような感動そしてなぜかしら喜びもともに湧いてきた。
あの時の体験はなんだったんだろう、
「普段は絶対聴くことのできない天上の音楽を聴いたんだろうか。」
それとも、プラトン流にいえば
「魂の故郷のイデアの世界を恋い慕う気持ちのあらわれだったのだろうか。」
星の世界を思うとき「くすしき」という古語が思い浮かぶ。馴染み薄い古臭い言葉と思われるかもしれないが、小中学校の時必ず歌った歌で「冬の星座」があるが、この詩の中にも「くすしき」が出ているし、同じ中学校の時の歌の「ローレライ」の中にも「くすしき」が入っている。
「くすしき」、意味は「不思議で、霊妙な」。
夜空の星々の世界は「くすしき世界」である。
私は霊感のある人間ではないが、若い時に素晴らしい夜空を見たときの感動は、今から考えると霊感に限りなく近かったんじゃないかと思っている。
自分があの時もう少し霊感を強く感じていたら、「星の世界が人間界に及ぼす影響」を究めようとその方面の勉強をしたかもしれない。
すごく魅力のある分野である。それは今でも持ち続けている。
「星の世界と人間界の関係への興味」はその時以来封印してきた。それ以後、歴史の勉強の興味が続いている。歴史は「人間界の関係のみ」を究めるものともいえるが、ときどき星の世界がかかわってくるというような史料が出てくると、星の世界が人間界に及ぼす影響について、俄然、興味が沸き起こってくる。
中世史料の中にはその類が多い。多くあり過ぎて例を出すのに迷うが、鎌倉幕府滅亡に関するある星の影響について、ちょっと紹介する。
「太平記」に「妖霊星」(ようれぼし)というのが出てくる。昔、これを読んだとき強く興味をひかれた。執権北条高時の時、「妖霊星」があらわる。それは兵革が起こり、幕府が滅亡するという予言であり、結果、的中する。
歴史はあまりその意味を深くは追究しない。まして因果関係についてあれこれ言うことはない。しかし、わたしは、もっと知りたかった。オカルト研究と言われても。しかし史料・文献研究が中心の歴史ではなかなか難しい。
私は史料を読んでいてその字面にゾクゾクとすることなどまずないがこの「妖霊星」という文字、音読の音、にゾク~ッとした。
「この妖霊星の正体はなんじゃろ、他にどんな影響があったんじゃろ。もっと知りたい。」
これも20代のある時期だった。結局これもわからぬまま封印。
そして夕べから今朝にかけてある人の影響で占星術について考えていてこの史料を思い出した。
ネットで調べると、なんと、この「妖霊星」の正体についてある説を述べている。
この人、天文学者か歴史家かはたまた占星術師かどうかわからないが、私は大変勉強になり、昔、疑問だったことがかなり明らかになったのでリンクを張り付けておきますので興味があれば見てください。
http://ch08180.kitaguni.tv/e1659981.html
ネットってすごいですよね。長年の疑問もキーワードを打ち込めば、真偽はともかく、パシャパシャズラズラと箇条書きに表示されますものね。あ~、20代の時にネットがあったらもっと賢くなってるのに残念。
そうそう、今日は七曜について意外なことを知りましたがこれについてはまた別の機会に。
ネットでコメントなどを通じてコミュをとるといろいろな興味を新に刺激され、勉強できますね。感謝です。
4 件のコメント:
妖霊星は火星で間違いなしでしょう。?
リンク先では火星の大接近が原因か?的な解釈みたいでしたが、占星学的には接近云々は考慮外でして、占いのターゲットのホロスコープ上での火星の位置と、その時の位置が問題です。しかし、逆行(地球から見た見かけ上の運行)と太陽に近いかどうか(太陽の影響で焼かれるという意味)は考慮に入れます。ですから、鎌倉幕府の誕生か、北条高時のホロスコープを見てみないと何とも言えませんが、大接近の時は逆行は必ずしますので、いい影響はないと思います。
火星は、九つの惑星の内一番否定性が強い星ですが、自分の部屋(ownhouse)とか、高揚する部屋(exaltation)にいると居心地がいいので、いい影響になります。その場合、肯定的なエネルギーなのでいい感じです。やまさんの火星からの影響は、結構当たっていました。(^.^)
一つ質問していいですか。
西洋史の占星術の影響は我ら日本史をやってるものにはわかり難いものがあります。日本の場合「易」とか陰陽五行の説明がおおいんですね。どちらかというと東洋の方が合理的な匂いがします。
われわれは昔から「災害」(わざわい、がい)とあたりまえのイメージなんですけど、西洋の災害は「disaster」dis-否定形で、aster,星に・・となります。
つまり、災害は「悪い星のもとに起こる」という語源そのものにも入っているのが西洋の災害です。これは日本史をやる我々にはイメージしがたいです。
しかしそれだけ占星の影響が西洋史では大きいということなんでしょうね。
ちょっと前置きが長くなりましたが、西洋史でもっとも恐ろしい災害は、中世14世紀の「黒死病」です。全欧州の半分が死んだといわれています。
その原因として、ある占星術の人は(もちろん当時の)
水瓶座で木星と土星が「結合」したから、といっていました。大接近はわかるんですけど、木星と土星が「結合」するなんてことあるんですか?
結合すれば天球上では見かけは一つになりますよね。
そんな天文現象ってありですか?
疑問に思ったのでお聞きします。
占星学で木星と土星が「結合」(cnjunction)というと、お察しのとうり見かけ上のことです。地球から見て水瓶座の範囲で土星と木星が同じ位置に見えるということですね。20年くらいに一回の割合で起こるみたいです。インド占星学では、地球の歳差運動を考慮に入れているので、一般の西洋占星術とは春分点の天空の位置が現在では23.2度ほどずれていますので、その値を補正して計算します。すると水瓶座での土星と木星の結合は1345年3月から1346年2月の間に起こっていました。ペストの発生とちょうど被るかと思いますが、木星と土星が水瓶座でconjunctionして災いが起こるのは、今の私の能力では解析不可能です。たぶん、特別なアスペクト(惑星の配置・角度)があったなかなと思います。
わかりました。結合なんてことが実際起こるんですね。
それと「インド占星術」ってあるんですね。中国は独自の暦に組み込まれた「28宿」というのがあるって知ってましたが、各文明圏にあるんでしょうね。
当然、アラビアも考えられるんでしょうね。
マヤも出てきますがスペインにかなり破壊されよくわからないのでは?
しんさまの立ち位置はインドですか。
私の推理するところ、西洋、アラビア、それとインドはシュメールの影響をかなり受けているのでは?中国も少ないけど受けてると思います。
まったく独自・オリジナルは「マヤ」ですね。滅びてよくわからないのが全く残念です。
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