映画を見るにつれて15年も前に読んでほとんど忘れていた小説も蘇ってきた。
この映画、小説を読んでいなければよくわからない映画になるのではないかという気がする。
もし小説を読まずに見ようと思ってる人は、一度読んでからにされた方がいいと思います。
主人公は死なないんだが、身近な友、その恋人だった人で自分にとっても大切な女性の自殺、2人の自殺が大きなテーマである。
二人の自殺の間には数年の間隔がある。恋人に自殺された女性は強度の神経症に罹り、自然豊かな山の中にある開放的な療養所に入院している。その女性もやがて自殺の道を選ぶ。
青少年期のまだ柔らかく脆い「自我」、「神経症」それと「自殺」、その3つのキーワードは青年期を考えるとき私の中で強烈な光を放っている。
みんなはそんな危うい、例えれば、滑りやすい一本の丸木橋、あるいは崖に懸垂されるようにさしかけられた数十センチの狭い桟道を通って大人になるものなのか。
何かの拍子に足を滑らし奈落へ落ちるものなのだろうか。
確かに青年期の自殺は多く、推定される理由も生活苦や病苦ではないため、その意味について深く考えさせられる。
明治期に華厳の滝で自殺した藤村某(旧制高校生)などは人間の存在そのものの苦悩の果て、いわば実存哲学の深奥に達した故の自殺であるような気がする(遺書はあるが解釈は人それぞれ、まさかとは思うが衒ったものという見方もある、フリか)
しかし、わたしは振り返ってみると、そのような危うい道をかろうじて通過して大人になったという感慨はない。
大多数の大人はそうだろうか。わからない。
身近に自殺した人間はいる。高校3年の時の同クラスの男子生徒である(といってもこのクラス男子ばかりしかいなかった)。陽気な奴で、よく友達とキックボクシングをしていた。
一浪して某国立大学の医学部に入学した。そして1~2年たったころに自殺した。詳しい理由はわからない。
顔見知りくらいで他にも自殺した青年も何人かしっている。
外見上、みんな陽気な感じだった。それだけに一層、なぜ、という不可解さが心に刻まれた。そしてなぜかみんな勉強もよくできて、話し上手で、頭の回転も速かった。
馬鹿な私は、
「自殺についても考えない自分は頭もよくないんだ。青年期の苦悩もないんだ。したがって高級な人間じゃないんだ。ここは自殺について深く考えるべきだ。」
と考えたりもした。今から考えると単純すぎて可笑しい。でも、自殺を考えることはおしゃれなんだ。というような傾向が青少年にあることも否定はできない。
それが嵩じてほんとに自殺したら、正真正銘の馬鹿になる。
そう考えるとこの「ノルゥエイの森」の小説、世界的な大ベストセラーになってるが、そのようなおバカな青年の自殺を助長すまいかと心配になるが、ま、私のような馬鹿はそうそういないから安心してもよいのかもしれない。
「ノルゥエイの森」の小説は87年に発売されたが、実はこの「ノルゥエイの森」という言葉はその10年ほど前から知っていた。
20代の時、エレクトーンを習っていて、ビートルズのこの「ノルゥエイの森」を弾いた。大好きでよく弾いた。
メロディーが中世あるいはジプシー的な感じがちょっとするし、エレクトーンではスローロックのリズムにのせたのもよかった。
スローロック、4拍の三連符で、二拍目の三連符の最後の♪にエレクトーンの足ベースでビートを効かせたのを思い出す。
劇的でもなく、そう深刻にも悩まず、ちょうどスローロックのようにゆったり生きて天寿をまっとうしたいね。
4 件のコメント:
スローロックっていう言葉があったんですね。知りませんでした。やまさん洋楽も結構聞くんですね。ビートルズはあまり聞いていませんでしたが、良い曲がたくさんあるのを最近になって知りました。しかし、このリズム良いですね!4泊の三連符ですか、気に入りました。
私も、自殺とか、人間は何のために生まれてきたのかなんてことは、真剣に考えたことはなく、現在もフランクな人生まっしぐらです。
20代の頃はエレクトーンをやっていた関係でジャズ、ラテン、シャンソンなど軽音楽はよくやりました。
しかし、DNAか伝統回帰か、今はジャズやビートルズより、春日八郎の「長崎の女」や、「湯の町エレジー」など演歌が好きになりました。
鼻歌で歌ってます。
エレクトーンってジャズに合いますよね。ボサノバにも合うのか最近イタリアのSam Pagliaっていう人のBobsamnovaていう曲のエレクトーンが気に入ってずっと聞いてました。じつは最近、鍵盤が光るキーボード買っちゃったんですよね。すごいのなんのって、どんな楽器の音でも、どんなリズムでも大体出せるんですよね。サンプリングもできるし、MIDIも再生してくれます。ボサノバってコードが複雑でついていけません。今度ギターで挑戦し直します。
エレクトーンのいいところは足やひざ、足の親指も使い、ベース、打楽器音も出せることです。電子音楽の進歩はすごいです。
私がやってたときの機種の100倍は新機能があります。
自動リズム、自動伴奏もお手の物なんですけど、あまり使わず練習するのがいいです。
昔、ボサノバでは「イパネマの娘」を弾いたことがあります。
やはり、日本人ですね。ラテンのリズムって難しいです。独特のシンコペーション、や、2拍に3分割の音符をのせるのに苦労しました。
それから和音はラテンに限らず民族音楽って半端な和音が多くてそれはそれで難しいがおもしろいですよ。
難しければ聴いてておかしくないコード進行に直してもいいのでは。
ラテンではほかにポピュラーなのでは「急流」とか「蜜の味」なんかエレクトーンで弾きました。なかなかいい曲です。もしご存じないなら一度聴いてみてください。
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