2020年7月23日木曜日

仏さんの果物とは?

 暑くて汗をかく季節、おいしい果物は水分補給にもなるしバテ気味の体にはビタミン・ミネラル補給になる。いつもよりたくさん食べたいのはやまやまだが、果物はたいへん高い、スポツドリンクや炭酸飲料が100円そこそこなのに比べ、今が旬の水蜜桃、西瓜、そしてもう少しすると旬を迎える葡萄、梨、金瓜(今は○○メロンなんどと称する)などそれ一っちょ買おうとすると飲料のぺトボトルが5~10本も買えたりする。ワイの子供のころの感覚でいうと異常としか言えないが今の若い衆などは生まれた時から果物はかなり高額だったのでそれが当たり前と思っているのかもしれない。

 昔も夏の果物は西瓜、桃、金瓜、葡萄、梨だが、今のそれとはいわゆる品種が違う、かなり付加価値の高い(ということは見た目がきれい、大きい、甘い、水分が多い、味がマイルドになっていて、口当たりは大変良い)品種である。日本の果樹園芸が生き残るにはこのように付加価値の高い果物の品種にシフトせねばやっていけなかったのも頷けることではある。

 ワイが小んまい時の桃も葡萄も梨も、ごく近まの地元でとれたもので小さく、葡萄なんかは非常に小粒で紅褐色をしていた。梨も硬くて水分が少なかった。それだけに安かった。そのころのサイダやラムネ、ミカン水の瓶のほうがそんな果物よりはるかに高かった(それらの瓶一本の値段で小籠に幾つも盛った果物が買えたわ!)、西瓜の大玉だけは昔もそれなりの値段はしたが他の物価と比較してそんなに高くはなかった。

 昔のこれらの(古い品種の)桃、梨、葡萄、金瓜の果物は安くてワイらのおやつにもなり、また真夏の果物であったため仏壇におあげする果物として八百屋・食品雑貨屋(駄菓子屋も)の店頭にたくさん並べてあった。これらは水菓子として子供のおやつにもなったがまた「仏さんの果物」でもあった。

 近年、これだけ果物が高くなると頻繁には食べられない、でも果物は食べたい。汁気の多い甘い果物で安いのが見つかればよいが、ワイの好みの桃、金瓜(メロンと称する)はやすいのなんかない。それにひきかえ果物の缶詰は異状に安い。黄桃や白桃の缶詰が税込みでなんと98円、ドナツ型輪切りパイナップル缶詰が144円、どうしてこんなに安いのか。トラックで運んでいて誤って小便タンゴにドブンと浸かったので安いんじゃないかと思ってしまうが、そうではなくてこれらすべては輸入物である。いかに日本国内の果物が高いのかという証拠でもある。

 もうすぐボニである。小ンマイ時から仏壇に仏さんの果物をあげるが今年も例の果物をと思っていたが、最近、仏典をちょろっとオベンキョして意外なことがわかった。「仏さんの果物」でもっともふさわしいのは仏典では何かということである。仏典では桃でも梨でも葡萄でも金瓜でも西瓜でもない。仏典で聖樹といわれる樹木はいくつかあるがその中で果物がなる木はマンゴー、仏典では「菴羅・奄羅・菴摩羅・菴没羅」と称する。つまり仏典を典拠に「仏さんの果物」といえばマンゴーとなる。

 そこで今年はマンゴーにしようかしらん、と考え、果物屋をのぞいてみた。宮崎産の太陽の卵、とかずいぶん大げさな名前の付いたマンゴーが並んでいた。大きさは林檎のデカいサイズである。それの値札をみておぶけた!3780円、超大玉西瓜より、メロンより高い。これじゃ、なんぼぅ仏さんの果物とかゆ~ても買ってお供えするのもビビるわ。

 それで思い出したのが、外国産の缶詰にすればずいぶん安いということ、果物屋でなく食品雑貨の量販店の缶詰部でマンゴの缶詰を探した。あった。値段をみてまたまたおぶけた!これが一缶98円、缶コヒより安い。下がそのマンゴの缶詰である。Doleとあるからわりと知られたメーカーである。小便タンゴに浸かったようなものではない。今年は安い梨、ブドウと並んでこのマンゴー缶をお供えしよう。

 マンゴの別名「菴摩羅」は仏典では人名、高級遊女アンバパリーと同名である。遊女アンバパリーはマンゴ林と関係しているところからつけられた名であろう。この遊女アンバパリーは「大般涅槃経」によれば仏陀の最晩年、涅槃への最後の旅の途中、彼女に説法し、彼女の供養を受けたとされている。その時、マンゴ林を寄進したともいわれている。後に彼女は仏教に帰依し、出家をとげ、当時としては珍しい比丘尼となるのである。彼女はマンゴ林に捨てられマンゴ林の番人に育てられたためマンゴと同じ名を持つという伝説もある。

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