2012年11月5日月曜日
長崎かすていら
皆さんはどのようなお菓子が好みでしょうか。最近の若い人は洋菓子の好みが多いようで、チョコレート系のお菓子なんかが嫌いという人はまずいないようですね。
このチョコレートはヨーロッパでも比較的新しいお菓子のようです。原料のカカオ豆はご存じのように新大陸原産ですから、当然、ヨーロッパに伝わったのは16世紀以降です。最初はコーヒー豆のように煎じるか何かしてココアのような飲料として用いられたようです。固形の板チョコが作られるのは19世紀中頃ですから、これからお話しする江戸時代には、皆さんのだぁ~~い好きなチョコは日本にもヨーロッパにもなかったのです。
チョコこそありませんが、この時代(江戸期)のヨーロッパの洋菓子はだいたい現在のようなものが出そろっています。ここでその原料をちょっと見てみましょう。小麦粉はまあいいとして、バター、練乳、あとナッツ類などが使われます。
どれもこれも脂肪分たっぷりです。それが洋菓子のおいしさの素でしょうか。でも砂糖以外はほとんどが各種の脂肪というのは健康面から感心しませんね。
よくバランスのとれた食事をといいますが、極めてバランスの悪い『お菓子』は食事とは別のものという考えなんでしょうね。(お菓子は別口、とか別腹というのはそういうことか!)
それに対し、江戸時代からある和菓子に注目してみましょう。ここでは長崎かすていらをとりあげます。原料は砂糖、小麦粉、水あめ、卵、その他です。原料の栄養素から見ると、脂肪過多ではありません。炭水化物、タンパク質、脂質がバランスよく入っています。カステラはずいぶん健康志向のおかしなのです。菓子でも食事と一緒で和風は健康にいいんですね。
このかすていらのバリエーションである、小豆入りのカステラ(具体名でいえば小男鹿・さおしか、下記図)
の場合なんかは小豆が入っているため、三大栄養のほかに『植物繊維』も豊富である。
江戸時代長崎で作られ始めた長崎かすていら、はポルトガルから入った南蛮菓子としてのルーツが知られていますが、私に言わせればアチャラのスポンジケーキなどとは別物、日本のオリジナルといっていいでしょう。
江戸時代に日本に来たオランダ人も朝鮮人も中国人もこれを和菓子として認識しています。カステラを作る和菓子職人の腕は世界的にも一流で、これを茶菓子に食べたオランダ人も、
『う~ん、こんなうまい菓子を作る菓子職人は世界広しと言えど、オ~ランダ!』
と言ったとか言わなかったとか・・・
江戸時代の長崎かすていらの世界にないおいしいところは
これ以外にも長崎で和菓子は発展展開をみせ、多様でおいしい菓子が作られます。長崎がこのような素晴らしい菓子を生んだのはオランダとの貿易によって入ってくる豊富な「白砂糖」があったからだといわれています。
日本人の贈答好きはこの時代から。高級和菓子のかすていらなんかは当時高級贈答品としてかなりの需要があったと思われます。
オランダからの輸入砂糖はかなりの量にのぼりました。多くの和菓子が作られた証拠です。
先日出島に行ったときに、輸入砂糖と、それからつくられた和菓子の動画を撮ってあります。ご覧ください。
きょうは長崎かすていら、の宣伝になりましたね。長崎かすていら本舗から
『宣伝料をいくらかもらいたいですわ~』
追伸、江戸のオランダ人の定宿、長崎屋はカステラ本舗とは全く別物です。当時の唐物(オランダ商品を扱う)店だったようです。
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2 件のコメント:
和菓子おいしそうですね。写真は徳島の銘菓「小牡鹿」ですね!おいしいいですよね、本家カステラよりもあっさりしていいように思います。山芋が入っているような触感があったように記憶しているのですが、気のせいかもしれません、また今度買って食べてみます。(~o~)
小男鹿は山芋も入っているんですね。増々健康志向のお菓子ですね。
これは阿波の銘菓の中でも最高級なのでここ何十年も食べていません。
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