2022年2月26日土曜日

市立図書館の2週間のお休み

   毎日図書館で長時間過ごす人は多く、私も毎日行くのでその人々のお顔はなじんでくる。主に(当然だろうが)高齢者が多い。午前9時から午後9時まで開いていて、一部のブースでは飲食もできるし、冷暖房完備(ウォシュレト便座もある)で、コロナ下にもかかわらず机付きの椅子席、ソファも多く、満員で座れないということもない。本好きなお年寄りにはいたれりつくせりの場所である。

 ところが今月の9日から二週間の図書整理週間の休みに入った。お顔なじみの人はどうしているのだろうと気になる。この二週間は例年になく寒くて風も強い日が続いた。この期間、他に行くところがないのだろう(ワイも同じや)、同じアミコビル内にお顔なじみの人々が待合の椅子に座っているのをよく見た。ぼんやりしている人もいるが、熱心に本を読んでいる人もいた。しかしコロナの6波が大きくなっているので自由に座れる椅子席の多くは撤去されている。あぶれた人々はどこで過ごしているのかしらん?

 この寒い中、特に雨なんどの時はどうするのだろう。数日前はそのアミコビルも全館休みで閉鎖だった。駅で降りてそのままクレメントビルの中の4階の百均ショップをのぞいたが、お顔なじみの数人が紙袋などを両手に持ってクレメントビルを上に登ったり地下に降りたりと、まいまいこんこしていた。この日の最高気温は6℃だった。

 図書館は本を借りたり資料を調べたりするための場所で、読書は二の次で、快適に過ごす場所ではないことは当然であるが、事情があって寒空の下どこへ行く当てもない高齢者が過ごせる場所であることも事実である。左のDVDをご覧になっただろうか(図書館の視聴覚ライブラリにあり借りてみることができるし、視聴ブースもある)。

 DVDで描かれるアメリカ・シンシナティの図書館も事情はよく似ているが、もっと露骨である。多くのホームレスが寒いシンシナティの冬の避難所として長時間開いている公共の図書館を利用しているのである。しかし特別に寒い冬のある夜、ホームレス70人は凍死を避けるため閉館時間が過ぎても図書館から立ち去らない。同情した主人公の司書はそれを認めようと奔走するが、しかし杓子定規な図書館の上司は反対し、物語が展開するという筋である。

 ここ徳島では凍死するほど切迫感はないが、二週間後の開館日、久しぶりに開いた図書館のソファでくつろぎ新聞を読んでいるお顔なじみの人々はなんかホッとしたような表情をしているように私には見える。

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