前のブログでは月面着陸のロケットと探査機器について書いたが、このような科学記事は皆の関心が高い。その皆の中でも少年になるほど多様な科学に関する記事・情報に強い興味を示す。そればかりでなく自ら進んでもっと深く掘り下げ、それとともに次々わいてくる科学的疑問を調べ、納得できるまで自分なりに理解しようとする。このようにして「理科好き少年」が誕生する。
私も紅顔白皙のころ(うわぁ、ワイもこんな美しい四字熟語で表される時があったんや!)は理科好き少年であった。これは高校のころまで続いた。だが大学の一般教養以上の自然科学になるとかなり高度な「数学」を駆使して理解しなければならず、数学好きで高等数学を難なくものにする人はいいが、私の場合は数学とはどうも相性が悪く特に大学の物理の分野には足を踏み入れられなかった、だから単なる「理科好き」終わってしまった。それでも(理解ツールとして)あまり数学のいらない「化学」などは大学のカリキュラムで選択したから、25歳くらいまでは人並み以上の化学知識はあった。
理科好きの少年がジジイになったらどうなる?それはまさに私である。若い時とは違った分野の理科(自然科学)に最近俄然、興味がわいてきた。どういうカラクリでか、この地球に人間として生を受けたのか、そしてやがて死に、おそらくは無と化す。そりゃどういう意味があるのか?そう考えたとき人生の終末期に興味をもってお勉強する理科の分野は次のものに絞られてきた。
●無から有が生じる宇宙誕生とその宇宙の行方
●生命はどのようにして誕生したのか、そして生命の宇宙での意味は
●「時間」とは何か、そしてその推移とともに必ず増大するエントロピー、それは老化、劣化、必然的な、あらゆるすべてのモノの終焉、とどうかかわり、我々はどう理解したらいいのか
とまぁ、またしてもブログの主題と無関係な話がだらだら続いた。しかし、ここで取り上げた「理科好き」の人、少なくとも高校生くらいまで理科好きだった人は今日の主題の「水の相」「月の相」はなんのことか理解してくれてると思う。小難しく書いたが水には三つの相がある、気体(蒸気)、液体(水)、そして個体(氷)である。それが「水の相」である。そして月の相は、日とともに変わる月の相貌の「相」である、いわゆる三日月・・上弦の月・・満月・・下弦の月・・新月、である。このように変化する月の形が「月の相」である。
昨夜、月探査のブログを書いた後、夜更けて空を見上げた、凍てつくような夜空にはかなり丸まった月が出ていた。「十三夜の月」である。すると今日、明日(旧暦15日)はほぼ満月が見られる。もっと月を見ていたかったが、あんまし寒いので、うちに入ってホットカーペットに横になった。そして今見た月に、我が「SLIM・スリム」はんは着陸しているんやなぁ、と思ったら、どの辺に「SLIM・スリム」はいるんやろ、と気になった。ビンボで家にはネット・WiFiもないし、スマホでさえ持っていないため、今朝になって図書館でネットにつなげ調べると、だれかが「ウサギの耳の付け根」付近ってゆうてた。「なんちゃらの海」だのと専門的な月の地名を言われてもわからないが、耳の付けと言われるとよくわかる。
昨日の月探査に関するブログで抜けていたところがある。ロケットで月に着陸するまでの技術は核搭載ミサイルICBMの技術と直接結びつくが、そもそも「月探査」をなぜ行うかの説明がなかった。一つには国家の威信、そしてあわよくば未知の土地(つまり月の土地)を探険することにより、領有してやろう、それがだめなら排他的な土地の権利を主張してやろうという下心があると推察できる。16世紀の大航海時代の冒険家がやったように、未知の土地を見つければ、それは冒険家が属する国家のものになる、少なくとも手を付けた以上、他者に対しその権利を主張できた(スペイン、ポルトガルなどの欧州諸国)はそのように中南米、大洋の諸島、の土地を手に入れたきた。大国ばかりが月着陸に成功しているため、そのパワーでもって無主の月の土地に権利を打ち立てようとしていると考えられる。
以上は国家の威信、領土の拡張、という昔からのパワーゲームに基づくものであったが、それ以上に、いや、その領土の領有の主張を含めた上で強く各国が望んでいるのは。月にある「資源」である。特に地球では確保が難しい「希少資源」を手に入れることである。そういうと漫画的な争奪のシーンが思い浮かばれるが、それはダイヤモンドであったり、黄金であったりするが(ダイヤなんどは少量でもロケットで持ち帰れば兆万長者じゃ)、17世紀のカリブの海賊ではあるまいし、金やダイヤより月面でもっとも必要とされて不可欠なもの、それは「水」である。え?そんなどこんでもある水みたいなもんが、疑問に思われようが月面での水ほど、のどから手が出るほど欲しくてたまらないものはない。
人が月面で生きていくうえで、水があれば、それから人の生存に必要不可欠な「空気」(酸素)を水から作ることができる。水は飲み物として人が生きる上に必要であるばかりでなく、無生物の死の世界、月において、シールドの中で水耕栽培をすることにより、地球の微生物をはじめいろいろな植物を作ることができる(人の食料になることはもちろん、微生物などはおもわぬ効用があるかもしれない) また中学校の理科の実験でおなじみ、水を電気分解すれば簡単に気体状の「水素」と「酸素」を作ることができる。酸素は先に述べたように人の呼吸の空気を作り、また水素はロケットの推進燃料になる。どうゆう理屈か、超高速で推進のためロケットから噴射するガスはできるだけ原子量の小さい物質がいいそうだ。とすると最も原子量の小さい水素は最適であるらしい。将来、月をベースとして「星間ロケット」を運用する場合、当然できるだけ高速を出すのがいいから、水素はいい推進燃料となる。
だからもしA国が月で大規模・大容量の「水資源」を見つけ、それを自国で囲い込めば、月での、圧倒的な優位性を確保することができる。だから競ってもっとも第一に見つけたいのは「水資源」である。(月の)隠れた水資源といえば、月の地下洞窟の深く、広がる地底湖のようなものをイメージしたがるが、実際はそのような状態では存在しない。そこで水の相がどうなっているか考えると、月のように大気がなく地表が宇宙空間に直接むき出しの状態ならば、月の影の部分は宇宙の平均気温に近づく。宇宙の平均気温は絶対零度より3度高いだけで摂氏-270℃のごく低温である。それに向かってどんどん下がる。当然水の相は固体、すなわち氷として存在する。地底湖のようなものは存在しない。
だが太陽光が当たる月の昼間となるとこれまた宇宙空間にむき出しなので、上限は太陽の表面温度数千度に向かって極端に熱せられ暑くなる。だからせっかく低温で氷として地表・地中に固定されていても、よほど深くなければ昼の高温のため蒸発する。大気がないため氷から水を経ず直接水蒸気になって昇華する、水の相は気体となる。また水資源の氷として取り出しても、人の居住できるシールドのようなところでなければ水の相の液体である水として存在しない。月では水は固体、あるいは気体としてのみ存在する。
地球と違って月の昼間は長く続くが(半年)、地球と同じでやはり北極南極地方は太陽光が横から射すため受け取る熱量は少なくなる理屈だ。そうすると他地域ほど昼間は高温にならず、昇華して消えさる氷も少なくなる。当然月の氷資源は極地に多いといわれて所以である。だから月の極地の探査が重要となる。この目的のためには我がスリムはまだまだ初歩段階と言える。
今夜から明日の夜にかけては月の相は満月に近くなる。真冬で空気も澄んでいるため月の模様である「ウサギの餅つき」もくっきり見える。軍事にも資源争奪競争にも参加しない日本の探査機は、ウサギの耳の付け根にあるという。そこでこんな装置で世界中を楽しませてくれないかなぁとの提案である。肉眼あるいは倍率の低い双眼鏡のようなものでもよいが、月に着陸したスリムから赤いレーザービームをピカピカと放射状に発して、花火のように楽しませてくれないか。これほど平和的な宇宙ロケットの利用は他にあるまい。技術的には無理かなぁ。
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