私の大好きな映画シリーズ「男はつらいよ」で毎回のように出てくる、テキヤの啖呵は聞いていて気持ちがよい、リズミカルで一度聞いただけで覚えてしまう、もう何度もこのシリーズは見ているので、寅さんのいろいろな売りの口上はもうソラでいえるほどである。その中で、こんな売り口上がある、縁日の露店で「易」「占いの本」あるいは怪しげな「お守り」の類を売るときである。
「・・・・さて、みなさん!天に軌道のあるごとく、人にはもってうまれた運命というこのガございます・・」
幾分信用できぬものをうりつけらっれるのではないかとおもいつつも、寅さんのうまい口上に乗せられて縁日の参道でふと足をとめて耳を傾け、その立て板に水のごとくの口上に聞き入ってしまう。
そういえば今日は彼岸の中日さん、昔よく祖父母に連れて行ってもらった「切幡寺」も今日はこんな寅さんのような露天商がたくさん出ていることだろう。昔見た露天商の中には彼岸ということもあって「占い」「易本」の類を売る店が毎年のように出ていた。いまは星占いとか、星座による占いの小冊子が多いようだが、昔は「干支」の占い、あるいはそれに基づいて「守り本尊」を売りつける露店があった。
私は「卯」歳うまれ、守りのご本尊さんは「文殊菩薩さま」である。大昔、ぼんやりした記憶ではあるが、祖父母が、このような縁日の占いの露店か、あるいは寺の販売所か、どちらか忘れたが、錦の袋に入った守り本尊のお守り(最近の若い人はアミュレットというらしい)、それと文殊菩薩の超ミニュチュァの像を買ってくれた。
彼岸が近づくにつれ、そのことを思い出し、いまさら「お守り」や「ミニチュァの文殊菩薩像」を手に入れたいとは思わないが、どこか文殊菩薩さまがご本尊のお寺にお参りしたいなと思っていた。そこで八十八ケ寺のなかで文殊さまがご本尊のお寺を調べてみた。なんと88も寺がある中で文殊さまがご本尊の寺はただ一か所しかない、31番札所「竹林寺」であるがここは高知市五台山にあり、すぐにてんごろ易く行けるところではない。
じゃぁ札所以外でこの徳島にあればすぐ行けると思いネットで調べると、県内の文殊菩薩がご本尊の寺は一か所しかヒットしなかった。神山神領にある「神宮寺」である。ここならなんとか行ける。今日バスで行ってもよかったんだけど、昨日の午後、友人がどこかへいかん?と車で誘ってくれたので、この寺にお参りに行った。
神山の道の駅にも神山温泉にも近い割と便利な場所にあるが、少し山道を(5分)ほど歩いたところにある。ところが地元では(というか神山観光の売り)としては、観音様のボケ封じ寺として有名であるという。あれ?ご本尊さんは文殊さまじゃなかったのか。半信半疑ながらも参拝を済ませた。
本堂
太子堂
左太子堂、右に観音さまの銅像がある
かえって図書館で今度は神山町史で調べた。やはり「文殊菩薩」が本尊で間違いなかった。この上の写真にあるように平成二年に観音様の銅像ができてから観音信仰に基づくボケ封じの寺のご利益が喧伝されるようになったようだ。
文殊さまはあまり人気のない仏様なのか、本当にご本尊とする寺は少ない。「知」にたけた仏様は敬遠されるのかな。
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