2021年1月20日水曜日

大塚美術館・17世紀和蘭・自然科学が急速に発展した時代の一画家

   コロナの影響か大塚美術館は人少なである。ただっぴろい展示室には私一人しかいない場合も多かった。暗い回廊を抜けてギャラリーに入った時、ハッとして目に飛び込んできたのが下のレンブラント(17cオランダ)の「夜警」、暗い展示室の中、まるでこの絵画から夜警の持つランプの光が周りに放射しているような不思議な感覚おぼえた。この画家は、光と闇の画家ともいわれそのコントラストが印象深いというのが一般的な解説である。考えるとこの17世紀のオランダでは光学が発達し、「光」そのものの物理的解明が進んだ時代である。それまでは光は神秘的なものとして、神の領域とさえ考えられていた。それを同時代のこの地オランダで科学者ホイヘンスは、光は波動であると喝破し、それによって屈折や干渉などの光の作用の説明を行ったのである。また光の速度が推定されたのもこの時代であった。そう考えるとこのレンブラントがこのような光を印象的に使った作品を作ったのは光の科学的知見が拡大したのと無関係ではあるまい。


 やはりレンブラントには、この時代の科学的知見の拡大に基づいたほかの作品も描いている。それは解剖学である。江戸時代に杉田玄白らが解体新書の訳のオリジナルに和蘭語の解剖学の本を使ったのは有名であるが、この時代のオランダでは科学的な人体の構造の解明が進んでいた。下はそれを表すレンブラントの『トゥールプ博士の解剖学講義』の図である(これも大塚美術館にある) 彼が活躍したこの時代のオランダ(ネーデルランド)では自然科学が急速に発展した。おそらくヨーロッパで最も先進的な国の一つであった。絵画もそれに影響を受けるのは当然であろう。

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