2010年10月24日日曜日

おなじみの定食屋

 この日は誘われて県南へドライブに行く予定だったが、相手の都合が悪くなり取り消し。いい風景の写真やうまいもんの報告ができると思っていたのに残念。特に目的もすることもない一日となりました。しかし何もない一日ではいけないのです。わからないなりにブログを始めて二日目、今日は食べ物に関する主題でブログを書くと予告していたのです。さあ、困った。
 など、思いつつ、朝食。まずいパンと残りもんで頂いた牛乳でぼそぼそ咀嚼、嚥下。「あーぁ、朝からなんちゅう食生活じゃ。」 せめてBGMだけでもゴージャスにとインターネットでモーツァルトを聴きつつお茶を飲む。この時、前日、MさんやTさんとモーツァルトのオペラ「夜の女王のアリア」の話をしたのを思い出し、インターネットで検索、教えてもらったニコニコ動画である。おなじアリアの中に下手なアリア歌手とあったので聴いたが、これが想像を絶するくらい下手。腹をかかえて大笑いする。なるほど!ニコニコ動画とはこんなもんか、と納得する。
 徳島に置いてある自転車の前輪の空気が足りなかったことを思い出し、空気入れを刀のように持ち列車に乗り徳島へ行く。行ったついでにハローワークへ寄り、情報を検索する。終わればちょうどお昼頃でおなかもすいてきたのでおなじみの定食屋へ行く。
 みなさんが見ればパッとしない定食屋だとおもいますが、私にはうんと思い入れがあるのです。なにせ付き合いの長さははK先生、MさんOさんBさんT嬢の生きて来た年齢以上ですから。私が18歳で夜間へ通い始めてからですから42年でしょうか。もちろん42年間同じ回数通っていたわけではありません。徳島に通わなくなれば疎遠になった時期もありますが、たまに徳島へ行き、おなかがすけばよくここで食べました。ここ数か月、平日は訓練のため徳島へ毎日通っているのでちょくちょく寄ります。
 昔風の食堂です。最近の食堂はその名称もカタカナやおしゃれな名前をつけていますが、ここは伝統を感じさせるような屋号の名前を持っています。そして屋号にふさわしく暖簾も。店の大将ももう80歳を越えると言ってました。
 往時ほど繁盛はしていません。私が18歳の頃は学生で大賑わいでしたが、その頃学生だった人は今、60歳を越えます。店とともに客も年老いたのでしょう、今は年配の人が多いです。
 そんなことを思いながら18歳の時私が食べていた同じ位置に60歳の私が腰を掛け定食を食べています。42年間何回食べただろうか?夜間へ通った寒い冬、食べたアツアツのおでん定食。金がない夜間の学生のため頼んで二階で開いたコンパの料理。社会人になっても忘れられず食べに来た定食の数々。物価は42年間でうんと上がりましたが、よそと比較しての定食の安さは変わりません。
 今日行くとおかみさんから「昨日はいいこと教えてくれてありがとう。」とあいさつされました。実は前々日、グーグルアースを見ていて、この定食屋の表示と案内をなんと宇宙からズームして見つけ、我がことのように嬉しくなりおかみさんにそのことを話してあったのです。その日おかみさんも息子さんに見せてもらったそうです。お互いパソコンには詳しくないものですからこんな些細なことにも感動を共有するんですね。
 いつもの多彩な盛りの定食470円を食べます。実は大きな声では言えないんですが、おかみさんはサービスにいつも一品つけてくれます。寒いときは熱いものだったりします。470円の定食でどれだけの利益が出るんでしょう、そんなことを考えると心苦しくなり、おかずがたくさんあって食べきれないからいいですよ、といってみるんですがいつもしばらく間をおいて、テーブルにコトンとおいてくれます。今日はなすの油炒めの小皿をつけてくれました。
 私が通った夜間の学校。今はありません、交通の大動脈の55号ができ、木造校舎もプールも消えました。青春の思い出はセピヤ色の写真アルバムの中にのみ。と言いたいですが、そんな気の利いた残っているアルバムもありません。ただわたしの頭の中に夜間時代の思い出が焼き付いています。しかしここ定食屋はまだ形あるものとしてあります。私の青春がまだ店の片隅に残っていそうな錯覚をおこさせる。昔と変わらぬ定食屋なのです。
 今日、おかみさんから、「先ほど40年ぶりに来てくれたお客さんがいるんよ。」と聞きました。大変懐かしがったそうです。おそらく学生のときよく通ったのでしょう。それから県外へ出るかして疎遠になり、40年ぶりに来たのでしょう。まだあることにきっと感動したに違いありません。はるか昔の青春の思い出が残っているのはうれしいものでしょうからね。
 最近、80歳の大将が冗談か真か、「もうじき店、終わるけんな。」と常連のおじいさんにいっているのを聞きました。大将の年齢や息子さんが別の職についているのを考えるとあながち冗談ではないかもしれません。私としてはいつまでも続いてほしいけど。始まりがあればいつかは終わりがあるのが世の定め、仕方ないかもとおもいつつなんだか悲しくなります。
 店をでると空はくもり。堀端を通り城内の砂利道を空気を入れてやけに弾む自転車に乗って駅へ向かいました。
 

1 件のコメント:

ワンピースファン ルフィと仲間たち さんのコメント...

470円の定食屋さんは、安いですね。
さらに、1品サービスは、Kさんのお人柄。
ランチで、この価格は良心的すぎます。
ワンコイン(500円)のは、たまにありますが
470円は、格安!