蔵本の眉山ふもとにある「峰のお薬師さん」へお参りに行ってきた。御仏の前でお経をあげさせていただいた。『薬師瑠璃光如来本願功徳経』いわゆる「薬師経」である。お薬師さんは日本に仏教が伝わった飛鳥時代よりずっと流行り廃りに関係なく広く信仰されてきた仏様である。しかし薬師経は般若経や観音経、法華経、浄土三部経(いわゆる阿弥陀経系)、それから真言の咒言、あまり聞いたことがない理趣経と比べてさえもマイナーなお経で薬師経を読誦する人はそれらのお経に比べると少ない。
お薬師さんは病気平癒や健康維持にご利益がある仏さまで多くの信仰を集めているのにもかかわらず薬師仏本来の「薬師経」があげられないのは不思議な気がする。徳島市でもお薬師さまが御本尊のお寺はいくつもあるが特に信仰者が多いのはここの「峰のお薬師さん」と大滝山(滝の焼きもち本店のあるとこ)の「滝の薬師」が有名である。先日、この滝薬師の祈祷日にたまたま行き合わせたが、般若心経やいくつもの真言の咒言が聞こえてきたが薬師経は読誦されていないようだった。
宗派をまたいで広く読まれるお経をいくつかまとめた「お経の本」が何種類も出版されているが上記のメジャーなお経はどの本にも入っているが薬師経はまず入っていない。なんで薬師仏を拝む人は多いのに薬師経がマイナーなお経になっているのか。それは各宗派にはその宗派が最も重要と考える仏さま(根本仏)の関係から所依のお経、受持すべきお経が(つまりその宗派で大切にされているお経)決まってくるが、薬師如来さまを根本仏とした宗派はないからであろう。
薬師経は一般のお経の形式と同じで「如是我聞~」で始まる。そして「お釈迦様がおっしゃるには~」、とそれを聞いた弟子の名とインドのヴァイシャリーという地も明らかにされ、「お釈迦様がおっしゃるには~ここを去ること遥か彼方にこの世とは違った別世界、浄瑠璃世界があり、そこにいらっしゃる瑠璃光如来が十二の大願を立て~」と、その大願の一つ一つが明らかにされる。その十二の大願が薬師経のエッセンスである。特に第六と第七の大願が重要で、衆生の健康と病気平癒を約束している。この大願にすがって人々はお薬師さまを拝むのである。
今日の峰のお薬師さんでは参拝者は全く見かけず、カメラをもって紅葉を撮りに来ている人が一人いただけである。
下が峰のお薬師さんの紅葉
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