2021年2月5日金曜日

ワクチンと駱駝

  先日、病院の予約診療に行ったとき、コロナのワクチン接種時期について先生に聞いた。この病院は地域で一番大きい総合病院で、私の主治医はこの病院の院長だったので、その地位上、地域の保健衛生行政にもかかわって他の医師より詳しいはずである。すると私のような高齢者は、4月頃から接種が始まるのではないかとのことであった。

 ついでに、ワクチンの効果についてネットなどでいろいろうわさが出ていて、効果に疑問があるだの、ほかの人が打って様子を見てから、というのがあり、私もすぐに打とうかどうかちょっと迷っているときいたら。いや、その機会に打っておくほうがいいですよ、私も(院長)真っ先に打つつもりです。という。また、行政から集団接種のクーポンが届いているのにパスしたら、なかなか次の機会が来ないかもしれないから、打てるときに打っておいたほうがいいですよ。と言われた。

 なるほど、いままでちょっと躊躇する気持ちがあったが、保健当局から接種スタンバイの通知が来たら迷わず打とうかなと思っている。

 ところで、最近、中東イスラムの歴史・風土・文化・文学などに興味があった勉強をしている。図書館にそれ関係の本はたくさんあるがモノとして目に触れ、手で触れるそれ関係のモノは、この四国の田舎にはほとんどない。博物館、美術館などは皆無である。それではとこの地域の風土に必ず出てくる地域特産の家畜・ラクダなら動物園に行けば会えるかもしれないと考えた。とくしま動物園に行けばラクダに会えるとおもっていたが、まあ念のため行く前に電話して確かめてみた。すると、なんと!「うちにラクダはいません」とのこと。なんで~ぇ、動物園にラクダがおらんのじゃ、おかしいやろが!でもおらんのはしゃぁない。代わりに図書館で左のDVDを借りて映像でラクダをみた。(中国河西回廊にいるウイグルの一派、ユグル族の少年と駱駝の話である)。これを見てラクダの種類の分布について一つの知識を得た。このDVDを見る前にやはり中東の歴史のオベンキョに「アラビアのロレンス」のDVDを同じ図書館で借りてみていたが、この地域の(アラビア)のラクダはんはみんな一こぶらくだで背中の中央部が大きく盛り上がっている。それに対しこの中国西域のラクダはフタコブラクダで背中に山が二つある。背中の形としては窪みに人がまたがるためこちらのほうが乗りやすい気がするが、アラビアの一こぶラクダは鞍が工夫されていて映像を見てもそう乗り心地が悪くないようである。また一こぶラクダのほうが体も大きく、力強く渇きにも強いようであるから、一概にどちらが砂漠にいい乗り物だとは言えまい。

 写真や映像からだけだが、ラクダは睫毛が異常に長く、優しい顔をしている。近くによって触ったり乗ったりしてみたい気がする。現代日本人は身近に大型の家畜などに接する機会はほとんどない。だがワイらのちんまいころはド田舎ということもあって、牛耕用に牛を飼っている農家が周りにたくさんあり、身近に大型の家畜を見ている。ラクダ、牛にしても草食系の動物は大型であっても怖くはない。しかし、ラクダは見知らぬ人にはけっこう性悪で、おとなしく乗るのは困難の上、蹴ったり、かみついたり、つば(反芻した粘液を)吐きかけられるから慣れねば厄介だ。

 他にもラクダに関してはきわめて剣呑な話もある。厚生省から中東旅行する場合、パンデミックを引き起こす疫病に関し注意が喚起されている。この発生源の一つが何とラクダなのである。我々17年前にパンデミックの可能性のあったSARS(重症急性呼吸器症候群)についてはまだよく知っているが、その同じような伝染病にMERS(中東呼吸器症候群)についてはほとんどといっていいほど知らない。しかしこれも大流行を引き起こす疫病である。致死率も高くSARSと同じように呼吸器不全を起こす。これはその名も示すように中東地域が流行の中心でなんとラクダの唾や粘液から感染するのである。新型のパンデミックは蝙蝠あるいは野鳥、家禽、豚などが発生源と言われたがなんとラクダもその中の一つだったのである。幸いなことにMERSはパンデミックにはならず中東地域に限定されているが、ラクダに安易に触ることには要注意とのことである。

 なんやら家畜も含めた動物は病気に関しては災厄をもたらすばかりかと思うがそうでなはい。いまコロナの病の救世主ともなる「ワクチン」、英語で書くと「vaccine」というが、これはラテン語のVacca(雌牛)に由来する。世界初のワクチンである天然痘ワクチンが雌牛から取られたため、この名がつけられた。18世紀イギリスのジェンナーが牛の乳しぼり女がかかった牛痘が天然痘の強力な免疫を作ることを発見して種痘ができたのはよく知られた話だが、この種痘(ワクチン)が作られたのは牛さんの腹にできた牛痘のかさぶたの膿からだったのである。災厄ももたらした家畜ではあるが、その名の語源の示すように牛さんは人を感染病から救うワクチンも作っていたのである。

0 件のコメント: